遺失職 中篇
サブタイ回収です
俺が迷宮の中でひっそりと行っている、科学と魔力の掛け合わせや純科学の発展。
それらはいづれ禁忌の到達する、だがそれでも俺は行い続ける理由があった。
──【超科学者】という職業がある。
職業名で分かる通り、【科学者】系統から成る最上位職で、同時に科学技術を名前の通り一気に進められるような力を持つ。
そも、科学という概念をEHOの世界はすべて否定しているわけではない。
職業システムが存在し、その恩恵に人族があやかっていることからもそれは明らかだ。
名前だけで否定するなら、【盗賊】や【暗殺者】なんて誰も就かなくなる。
道具に罪を問うようなもの、【科学者】もまた就く者が居て広める者が居るのだ。
「問題はその発展度合い、あっちもあっちでいろいろと調べてくれているからな」
時間加速が進み過ぎたせいで遠い昔のように感じてしまうが、闘技大会において俺が相対した逸脱者たち。
その中の一人、『星宝級職人:忌創展概』と俺はある取引を行った。
そのため、連絡を取り合う間柄になったのだが……どうやら彼女、もう就いたらしい。
「お陰で就職条件も教えてもらえたし、試練の内容も分かったけど。さすがに就くわけにはいかないしな」
さも知っていた風に語ってはいたが、すべては彼女からの受け売り。
いちおう存在自体は“職業系統樹”で知っていたし、それを伝えたのも俺だ。
だからといって、科学技術を飛躍的に発展させて就職条件の一つ──『純科学産アイテムの製造数、及びその普及』をすぐさま終わらせるとは思ってもいなかった。
そのため、生産世界では現在科学ブームが到来しているそうで。
新たに科学技術による都市が生まれ、更なる発展が進められているんだとか。
「まあ、レシピの一部は取引で貰えることになっているし、職業システム的な合法はそれで分かるんだよな」
初期状態のレシピに限り、譲渡して貰えるよう【超科学者】の情報そのものを材料に条件付けをしておいたのだ。
まあ、普通ならレシピだけ貰ってもはっきり言って意味など無い。
それに見合う技術や設備、またスキルや職業能力などの資格が足りないからだ。
百歩譲って知り合いにそれを見せ、一からトライするのが精々だろうか……。
が、俺には頼もしい:DIY:様がいらっしゃるので、見るだけで充分。
一を聞いて十を知るではないが、【超科学者】で可能な技術はすべて再現可能となる。
創造神にして失名神話の主神様の御業なのだ、これぐらいできてしまうのだろう。
「とはいえ、純科学とは別方向の……魔力とのハイブリッドも捨てがたい。何でもやってみるのがチャレンジ精神ってものだしな」
先に述べた通り、科学と魔力はいろいろと相性が悪くて失敗する場合がある。
それでも上手く掛け合わせられれば、相乗効果を生むことが……あると信じていた。
現状では反発する際の反応を、強引にプラス方向へ持ち込むのが精いっぱい。
……ほら、『騎士王』に使った恒星能爆弾みたいに、自壊を活かしたりする感じだ。
※【超科学者】
どこかで聞き覚えがありそうな、科学者系統の最上位職
──高過ぎる科学技術の果て、人々は母なる世界より星々の海へと旅立った
何度か本編でも語られた、システムの恩恵が失われる宙海(宇宙)
だが純科学製品で造られた乗り物であれば、ワンチャン航行が可能
──なお、AFOの場合はそれを阻む大きなクジラさんが居たわけだが……EHOだと?
p.s. 無字×927
仕事中もアイデアを考え……帰る頃にはその大半を忘れてしまう作者です
暇潰しのアイデア構想ですし、何よりメモができない職場環境ですので……
それでも、どうにか覚えていた情報を書き込み……だいたい死蔵しています
うん、出番があるかどうかは……また別なのじゃよ




