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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
罪深き侵攻と天へ至る梯

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冥界調査 中篇



 ギリシア神話を調査すべく、さっそく天界へ……とはいかず、向かったのは冥界。

 同じく神話が息づく地下世界にて、ギリシア神話について『冥王』に尋ねてみた。


「それで、エリュシオンに行くのかしら?」


「……冗談。行ったところで門前払いだろ」


「そうでもないわよ。貴男はここの第一権限の保持者であり、覚醒した【勇者】の素養もあるのだから。無下にはできないわ」


「覚醒……ああ、【生産勇者】か?」


「名前からして戦闘する気が皆無でも、覚醒には変わりないもの。で、何を成したかと思えば……貴男、[クノッソス]と戦ったことがあるみたいじゃない」


 彼女の言うソレは、かつて懇神会にて偶発的な遭遇を果たした災凶種の名前。

 決着はつかなかったものの、死闘を繰り広げたと言っても過言ではない……たぶん。


「それが何か?」


「あの子は特別、英雄たちの試金石。それをギリシア神話の神々が認めているのならば、充分に資格はあるわ」


「……で、天上世界に直接行った結果が、第肆号の許可証だったんだが?」


「当然よ。こっちは非正規の裏ルート、一度死ぬかそれに等しいことをしないと、本当は入ってこれないのよ? 誰でも貴男みたいにここまで来ることはできないわ」


 俺の場合、膨大な数の死を経て得た数多の[称号]によって冥界へ辿り着けた。

 同様に、エリュシオンもまたそうして資格さえ示せれば通ることができるわけだ。


「えっ、じゃあ行けば通れるのか?」


「ええ、辿り着くならば通れるはずよ」


「…………ん? なんか、過程が物凄く面倒な風に聞こえるんだが?」


「あら、そう聞こえたの? まあ、実際そうなのだけれど。エリュシオンはね、タルタロスのその先にあるのよ。つまり、ギリシア神話が誇る悪神や神話の怪物を乗り越えないといけないの」


 なにそのエンドコンテンツ。

 昔読んだ本が正しければ、エリュシオンは西の果てに存在する島のはずだったが……まあ、いろいろ混ざった結果なのだろう。


「それ、辿り着けない英雄も居るんじゃないか? ほら、適材適所っていうか……」


「そこは匙加減ね。タルタロスの先、と言っても彼らのすぐ傍を通るわけじゃない。それに、ワタシならエリュシオンのすぐ近くに送ることもできるもの」


「…………」


「何を言いたいかは分かるけれど、星約があるもの。いかなる理由があろうと、特定の神話に肩入れすることは許されない。ゆえに冥界すべてが、ワタシの支配領域なの」


 どの神話であっても、死後の国というものは高位存在によって管理されているものだ。

 だがEHOは、それらすべての上位にたった独りの『超越者』を当てている。


 それだけの力、相応の代償と言うべきか。

 失名神話に関わる身として、これ以上の醜態は見せないでおこう。



※エリュシオン(EHO版)

英雄たちが死後、天界へ向かうための裏ルート

本来であれば生前に辿り着く必要があるところ、何らかの理由でそれを成せなかった者たちに与えられた最後にして最期のチャンス

他の神話と違い、実力さえあれば認められる可能性がある

……ただし、失敗すればまともな末路はまず無くなる


p.s. 無字×921

なんだか読み直していただけているようで、感想が来ることにほっこりする作者です

……あっ、AFOの方です

あっちは更新が見ての通りなので、ここで書くことしかできないんですよね

どちらに注力しているか、と聞かれるとある意味こっちなのですが、作者個人のやりたいことの多さで言うとあちらなんですよね……


ただ、一話を二千文字にしている弊害でなかなか進まない

加えて、作者の初めての作品のためかなり文章がアレ…………いやまあ、今もそうですけど

EHOの更新、そして修正と新規作成のマルチタスクがこなせない系作者なのです

なお、それ以上に負担となっている読書が止められないのが一番の理由


それでも止められない止まらない、掃除のときに目移りして進まない感じな作者なのでした

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