梯子の試験 その03
魔獣由来のアイテムは危険、なぜなら代償が求められるから。
そう思いつつも空に掛かる梯子から墜ちてくる人々を、回収しては治療していく。
「意外とやっている人は多いんですよね。今なら需要は高く、おまけに動けるようにさえすれば多少の増額は許される。ええ、ボロい商売というヤツです」
天上世界にさえ辿り着ければ、後のことなどどうとでもなる。
そう考える連中ほど、後先考えずに挑みそのまま墜ちてきている現状。
そんな彼らを一部の者は救い上げ──請求書を突き出し、報酬をふんだくる。
なんせ自分たちは命の恩人だ、ある意味正当な対価と言っても過言ではない。
治療までしてあげればなお良し、どちらにも利があるWinWinなシステムだ。
熟練度やら経験値は稼げるし、墜ちた側も復帰にペナルティが要らないからな。
「……中には下から撃ち落として、それを拾い上げてはまた墜とす、なんて悪質なことをしている人もいますが。まあ、それはそれでこの祭りを盛り上げていますね」
梯子自体は壊せないようだが、梯子を巻き込むような範囲攻撃はできる。
だからだろう、結構な頻度で地上から上空に向けて攻撃が放たれていた。
「うーん、人族はやはり……」
これ以上は何も語るまい。
ともあれ、そんなこんなで誰一人として梯子を最後まで登ることができていなかった。
なお、本来の妨害役として『羽持ち』の個体が上空で待機しているのだが、登ってくる連中の妨害をする必要が無く、かつ地上から攻撃されるのでそちらの迎撃によく動く。
本来ならレア個体なのに、わざわざ上空で妨害のためにスタンバイしているからな。
攻撃してヘイト値を稼げば降りてくる可能性があるので、かなり狙われていた。
「そろそろ行くとしましょう……反重力装置の起動をお願いします」
いつまでも地上に居ても仕方がない。
そんなわけで、俺もまた上を目指すべく階段へと近づいていく。
階段は崖に配置されていて、足を踏み外せばそのまま森の中へ落ちる仕組み。
──先ほどまで人々を救出していた俺はその森の中、だがそれで良かった。
《畏まりました──重力方向指定、軸変更、固定……安定に成功しました》
「擬似スキルがあればそれでも良かったのですが、アレはエクリの特権ですからね」
重力を操る機械を利用し、自らに掛かる重力の方向を操作。
結果、崖に足を掛けた俺はそのままそこを床に見立てて歩くことができる。
そうして崖を登り、そのまま階段へ──反対側から足を掛ける。
本来の階段ではない、支えも無く宙に配置された物だからこそできるやり方。
重力は逆さまに、俺もまた頭部を下にした状態で上を目指していく。
体を結界で包み、範囲攻撃に巻き込まれないようにした状態で──遥か高みへと。
要するに、足に重力のペンキを塗ってます(某秘密な道具)
足が外れたら落ちる、とかそういう心配も要りません
セーフティがいろいろと掛かっていますので、頭に血が上ることなく悠々と登れる……その利点は次話以降で!?
p.s. 無字×911
データ通信量といつも戦っている作者です
残り7日間を切り、残りは0.2GB
持つか、いや持ってみせる……!
でもおかしいな、これまではソシャゲ(デアクラ)をやっても何とかやりくりできていたのに、何だか最近急に増えたんだよな…………
最近のアプリでよく流れる広告、それが妙に長かったり実際に操作する……みたいな仕様のせいでは? と毎度疑っている作者なのでした




