梯子の試験 その01
ついに始まった。
天から降り注ぐ光の梯子が物質化し、上へ向かうことができるようになる。
具体的な制限時間は不明、周囲は魔物たちが活性化して道を阻む。
ある者は上を目指し、ある者は魔物たちでレベル上げ、またある者は素材を求める。
そうして誰も彼もが動く中、俺もまた梯子の辺りが空くまで魔物の素材を集めることを決めた──狙うのは『羽持ち』個体、希少価値が高いんだとか。
「──さぁ、仕事の時間ですよ」
取り出すのは二丁の拳銃。
だがそれは二丁で一丁──正しくは、分裂した一丁の銃だ。
「魔獣機構接続──『墓骨』」
その銃──『試作型増蓄魔銃・壱式』に取り付けられた、カードリッジ。
骸骨のデザインが彫られたそれを経由し、銃に本来備わっていない能力が搭載される。
特殊耐久サバイバル部門において、俺自身は遭遇していない個体。
だが黒幕である『空間』の魔獣により、その一部が回収され──それが培養された。
結果生み出されたクローン魔獣。
それを一部拝借することで出来上がったのが、この魔獣カードリッジだ。
「少々劣化してしまっておりますが、あの時とは違いますからね──“屍動”」
カードリッジの影響を受け、本来生成される魔力の弾丸も変質。
擬似的な死霊術となり──構成物質は骨、中には死霊が宿る代物へ。
そこに解放済みの【死霊士】の職業能力を作用、活性化させて強化を図る。
そしてそのまま射出、狙いも定められないまま飛ばされた弾丸──だがそれは当たる。
「私自身は撃つだけでいいんですから、本当に楽ですね」
死霊が生命力を感知し、骨を誘導することで魔物に特攻するというイカれた弾丸。
命中した瞬間に瘴気を撒き散らすため、魔物たちは勝手に弱体化してくれる。
銃自体のスペック、魔獣由来のカードリッジによる強化、そして急所への致命攻撃。
それらが上手く噛み合い、大抵の魔物は数発喰らうだけで生命力を0にしていく。
「さすがに一撃必殺とまではいきませんか」
《威力を手数で補うのが、【銃士】本来のスタイルです。そこから一撃に伸ばした職業であればともかく、下級職の補正ではそこまでできません》
「それは仕方ありません……ですが、銃はこれと相性がいい──“武威博打”、“博供打貢”、そして“魔貨装填”」
ギャンブラー的職業三つから得たスキル。
ランダムダメージ、成功補正、そして魔力でランダムダメージ上乗せ。
銃は手数がとにかく多い。
熟練者になると拳を振るった方が早くなるらしいが、少なくとも初心者以下のスペックである俺の場合は銃が一番なのは確かだ。
引き金を引く、それと共に職業スキルのエフェクトが弾丸を覆う。
中身が骨でもいちおうは弾丸、おまけに魔力が生成に関わっているので補正もある。
命中した際のダメージが変動するスキルの効果、それはつまり確率での変動。
──触れた瞬間爆発に似た衝撃が発生し、周囲の個体すらその威力に弾け飛ぶ。
「…………寵愛、凄いな」
致命攻撃に加え、“武威博打”のジャックポットが発生。
本来の俺ではありえないようなダメージ、それがさらに“魔貨装填”により強化。
当然、天文学的確率というヤツだが……ルリの寵愛は凄まじく、その極めて低い確率をやや低い、ぐらいには底上げしてくれる。
結果、ああなった。
ついでに言うと、[称号]としてセットした『貧弱な武力』と『闘匠』もあるから確定で防御無視だ……うん、我ながら酷い。
少し前に素のスペックは雑魚レベルと称しましたが、逆に何でもありだとこうなります
組み合わせ次第でどこまでもイケる、【救星者】(無制限職業チート)と『超越生者』(多重称号チート)もアイテムとセットで使えますからね
p.s. 無字×909
毎度お馴染み、AFOの更新日となりました
……全然書けてないですけど、メインはこちらのつもりなんですよ?
まあ、今は偽善者が全然出てこないシーンが続いているのですが
代わりに登場している架空VTuber、セジュラス・スロースちゃんをよろしくお願いします




