梯子への準備 前篇
冒険世界 S20E17 天の梯子
対人戦を独りでやるのはまだ無理、そう判断した俺。
上級職以上を解放し続ければ、その過程で技術を磨けて可能になると信じて。
「おおっ、前回来た時と違ってかなり盛り上がっているな……」
《武装した者のほとんどが休人です。一部、屋台を開く者の中には原人も含まれているようですが……それでも一割以下でしょう》
「わざわざ来るのも困難な場所に、自殺覚悟で来るのはな。金銭的に苦しくて、一か八かの賭けに出るような奴だけじゃないか?」
その点、休人は死んでも確実にやり直すことができるわけだしな。
──天の梯子、天上世界へ向かうことができるこの地は、本日上と繋がるらしい。
予知系の職業持ちや『プログレス』持ちがそれを特定し、情報を流布。
早い者が前乗りでここに来て屋台を建て、こうして後から来た者の支援を行う。
最後の準備を済ませるため、多少割高でも彼らはそれを利用する。
まさにWinWin、どちらも危ない橋を渡っているのだから問題あるまい。
「冒険世界の方は、休人たちによって大部分が攻略されているからな……俺と同じく、あまり知られていない未知の世界を求めるヤツがこんなに居るわけだ」
新マップ開拓。
元から行けたのかそうじゃないのか、ともあれここから天上世界へ行くことができるという情報が、ある時期を境に伝わりだした。
先行開拓者、先んじて到達して攻略を進めてきた者が多ければ多いほど、楽しむことができるその時だけのイベントというものは少なくなっていく。
俺がトラブルに巻き込まれたように、休人たちは行く先々で原人たちと関わり、抱える問題を解消する──後から来た者たちは、そこに関わることなく問題は消え去る。
「それこそ一人用RPGみたいに、誰でも同じイベントができるわけじゃない。誰よりも早く行けばそれだけ、残されているイベントは多いだろうな」
そんなわけで、未だ全貌が明らかになっていない天上世界へ行きたい者が多い。
明らかにエンドコンテンツ級の難易度で、確実な行き方など判明していなかった。
──だからこそ、そこにまだ残されたナニカがあると信じて彼らは向かう。
死んでも二度と挑戦できなくなるわけではない、ならば挑んだ者勝ちだと信じて。
「ちなみになんだが、これってどれくらいのレベルがあれば突破できるんだ?」
《不明です。一般的なカンストである250でも突破できなかったという情報もあれば、中級職にいくつか就いている状態でも辿り着けたという情報もございます》
「……後者はガセなんじゃないか?」
《多くの者はそう認識しております。しかし私はそれが本当だと思っています》
まあ、どうせならそれでもできる方が俺としては好都合だからいいのだけれど。
単純な戦闘力ではない……ってことなのだろうか──要るとは思うんだけどな。
※天の梯子
天上世界へと向かうことができる方法……の一つ
複数存在しているが、中でも座標とやり方が確立しているもの
p.s. 無字×907
疲労困憊、仕事疲れからか気づけば寝落ちということが増えてしまう作者です
……いやまあ、いつものことですけど
お陰で出勤までの時間が短くなる……書けるけど、余裕が無い!




