守護星獣 前篇
アイスプル 神・世界樹 麓
タクマにも、『AAA』との契約についての説明を終えた。
ヤツ用の部屋も用意してはいるんだよ、だが実際に使われることは無いだろうな……。
「力試しとか、やっておいた方がいいのかもしれないな」
『……急にどうしたのだ』
「いやほら、前回の侵入な。住民たちも実力の面では縛り付きの状態でも、基本はどうにかなってただろう? なんか一部は奇策にやられて突破されてたけど」
困ったときの風兎、反省を活かすためにも助言を貰うべく彼の下を訪れる。
普段は戦闘力が皆無らしいカルマ(仮)でも、持っていた料理で突破したらしい。
なお、餌付けされた当人(魔物)は食糧の供給量が少ないのが悪い、と俺に抗議をしてきた……風兎にその後、栄養バランスやら食生活のことやらでお説教を受けていたっけ。
「で、ここで問題になるのがエンキだ」
『……そういうことか』
「そう。この星の守護獣、つまり防衛ラインとして必ず参戦することになるんだが、どれくらいのものか一度テストをしておいた方がいいと思ってな。今回の餌付けみたいな誘惑やら、普通に戦闘力のテストやらも兼ねて」
『後者に関しては問題無いと思うがな。条件付きとはいえ、森の民たちとも渡り合えているようだからな』
「……えっ、マジで?」
森の民、とは風兎がもともと匿っていた魔物たちのこと。
今や大半が固有種、または『プログレス』持ちのハイスペック集団だ。
彼らと渡り合えるというだけで、人族の大多数は鎮圧可能と分かる。
……問題は、上澄みの中の上澄みである逸脱した連中が来た場合なんだよな。
「まあ、とりあえずは当人の意思を確認する必要があるか──エンキー!」
『クキュー!』
呼びかけに応じ、すぐさま飛んでくるエンキ──宙を蹴り、翼で滑空しながら。
キメラ的な星獣であるエンキは、一時的に様々な種族の力を引き出すことができる。
なお、レベルはかなり低い。
獲得経験値を抑え、代わりに能力値が向上しやすくなるという魔道具を生まれてから装備し続けているからだ。
そんな状態にも関わらず、すでに強さを示しているのだから優秀である。
スキルなどにも逆補正が掛かり、技巧は凝らせても出力は抑え気味のはずなんだがな。
「エンキ、聞いたぞ? 住民たちとも戦えているらしいじゃないか」
『クキュ……』
「ん? みんな手加減してくれてるって? ははっ、それは仕方がないさ。そもそも、アイツらは本気で戦ったら地面が無くなっちゃうからな。それに、俺なんて鼻息一つですぐ死んじゃうんだからもっとダメだぞ?」
『クキュ……クキュ!』
「そうそう、だから頑張ってみよう! ちょうどいくつかやってみたいことがあってな、エンキに手伝ってもらいたいんだ? やってみてくれるか?」
『クキュー!』
そんなわけで、我が星が誇る未来の最高戦力のテストをしてみることに。
……なお、エンキは『プログレス』も職業も無しで戦えている凄い子なのだ。
※星獣
星を守護する最高にして最大戦力
具体的に言うと──基礎スペック&能力リソース=星の規模
滅茶苦茶(形はともかく)発展している星ほど強大な存在となる
では、アイスプルの場合は……全然弱い
重要な要素が未だ満たされておらず、他の世界に比べると圧倒的に劣っている
が、それと個体のスペックは別
ゲーム的に言うなら、それは上限値のようなもの
レベルを上げて物理で殴れないなら、1度のレベルアップで何十回分も成長すればいい
そんな暴論の権化がエンキ
最終的に超絶強くなる大器晩成型
p.s. 無字×903
質疑応答にホクホク、自分と異なる視点はやっぱりいいなぁと思う作者です
ただ、暴走しがちなんですよね……感想の返信欄を見た方は分かると思うのですが、好き勝手書いて出している気がします
相手がそれを求めているか、というと違う気がしますね
ここまで続いたEHO、惰性か関心かはともかく読んでいただいている方、その中でも感想やご意見をくださる方が相手なので、ついつい……反省はしている、だが後悔はしていない!




