オーナー談(01)
冒険世界 クランハウス『EEE』
「…………」
国家に、星に正式に認められたクランである『EEE』。
クランオーナーである『ナイト・ロール』は、ある人物とのやり取りを行っていた。
[それでね、凄いんだよ! ゲームセンターみたいな場所もあってね、しかも本当に景品も取れるんだ!]
「そう、良かった」
[だから今度いっしょに行きたいな……そっちは、まだ忙しいの?]
「うん。紛争地帯の救援もあるし、あの人たちの手綱を取る必要もあるから……なんで少し目を離した隙に、街を半壊させて固有種討伐なんてするの」
その者の──仮の名はカルマ。
つい先ほどまで、偽装都市をエンジョイしていた感想を、友人であるナイト・ロールへ伝えていた。
それもそのはず。
彼らは現実において、親友とも呼べる間柄である。
休人の中でももっとも恐れられている犯罪者クランと、慈善活動に力を入れていると言われている合法クラン。
お互いに異なるプレイの仕方をしているように見える……が、二人にとっては意味のある繋がりだった。
[……ごめんね。いろいろと任せちゃって]
「いいんだよ。むしろ、こういう時に相談しないでって言ったのはこっちなんだから。貴方自身の選択を、最大限支える。それが私のやりたいことだから」
[本当、変わらないね]
「そりゃあ、親友だから」
カルマを支える、ナイト・ロールにとってそれこそがEHOでもっともやりたいこと。
たとえ親友が、それこそ犯罪者組織のトップに祀り上げられようと……それでも、だ。
「確認だけど。本当に大丈夫なの? イーケフだっけ? 調べてみたけど、全然情報が出てこなかったよ?」
[いろいろ訳ありみたいだけど、それはこっちもだし。そもそも、犯罪者だからね……でもいいんだ、全員がただ悪いことがしたいだけじゃない。やりたいことをしていたら、それが犯罪になった……そんな人もいるし]
「その理屈で言うと、露出狂や泥棒だって当て嵌まるんだけど?」
[そ、それはそうだけど……]
「分かってる分かってる。そうやって、人助けしてできたのが『BBB』や『CCC』だから……『DDD』は別だけど」
自称主体性を持たないカルマが、オーナーになった後誰彼構わず救い上げた結果、三つの禁忌を犯す非合法クランが誕生した。
技術の禁忌『BBB』。
立入の禁忌『CCC』。
そして、殺人の禁忌『DDD』。
比較的制御可能な存在をサブオーナーに置いて各クランを統率しているものの、彼ら自身の欲を抑えきることはできず、死を以ってしても彼らの罪は止まらない。
「そう言った意味では、今回の契約は都合がいい。自滅することを祈っているよ」
[……もう、そういう言い方しないで]
「休人同士ならPvPだし、運営もそのやり方を否定していないからいいと思う。でも、こっちの世界の人を巻き込んだらただの殺人だ。それを咎めないことこそ、やってはいけないことだろう」
[……そうだね]
それでも『DDD』は存在する。
無差別に暴れ回る殺人鬼たちを、一ヵ所に纏めておくために。
クラン運営は大変だ。
現実では学生である二人は、この後愚痴を零し続けていった。
※【■■】/【■■王】
カルマ(仮)が就いている二つの職業
前者はもともと就いていた【■■】が順当に成長した──非戦闘職
そして後者は『プログレス』発現後、条件を達成したことで(悪魔主導で)就いた超級職
経験値の稼ぎ場所が重ならないので、重複しても支障は出ていない
p.s. 無字×902
毎年恒例、ホワイトデーの日となりました
まあ、作者には(ry
今年はきちんと準備できましたので、気になる方はぜひチェックを




