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魔王 後篇



 その後は、盛大なパーティーが行われる。

 魔族領でしか手に入らない食材で作られた料理や、飲み物が配られて参考になった。

 成分解析は『SEBAS』に頼んでいるので、あとで再現することもできるだろう。


「──で、あっちは?」


《間違いなく。魔族には効かない、むしろ調味料として用いられる類いの物でしたが》


「それなら仕方ないのか? 耐性が無い者が食べればどうなるか、分かっていたが止めていないということは……そういうことか」


《本来、この場を訪れるような方々にそれは通用しませんので。旦那様の魔力量でも、耐えうる物です》


 先ほどから話に挙がっているのは、とある粉末状のスパイスのことだ。

 魔力保持量の多い魔族ならば問題ないのだが、そうでない種族だと……魔力酔いをしてしまう代物であった。


 俺は魔力にレベルアップボーナスの半分が振られているので耐えられたが……そうでなかったら、魔力に酔っ払って隙を見せていただろう。


「結局、仕組みは分かったのか?」


《手袋に似たデータがありました。それらを照らし合わせて作業を進めれば──奪うとまではいきませんが、直接解析を行えるようになるかと》


「方法は?」


《──接触です。触れた対象に関する情報すべてを奪い取ります。放出系のモノであろうと、触れられれば使用権限は【魔王】に移譲されるかと》


「チートだな、チートだと言ってやれよ」


 情報の書き換え能力者か。

 詳しく話を訊いてみれば、【魔王】の元の種族はキメラでもスライムでもなく──ドッペルゲンガーらしい。


 相手の能力を映して理解し、正確に欲しい力を【魔王】の権能で永続的に身に宿す……何、その反則的なコンボ。


 握手の際に付着した【魔王】の細胞から、そうした事実は判明したとのこと。


「けど、俺みたいな奴の場合は不可能だと」


《……申し訳ありませんが、旦那様のような存在は自然界で生存することは絶対にありえませんので》


「いいよ、分かっているさ。だからこそ、前に会ったあの魔物はすぐに死んだ」


 かつて『騎士王』の依頼で向かった森、その中で見つけた魔物は俺をコピーしようとして勝手に死んだ。

 弱すぎるステータスに耐えられず、自壊したからである。


「【魔王】がもし、一度相手をフルコピーしてからじゃないと対象の能力を理解できないヤツだったら……死んでたよな」


《左様でございますね》


 そんなことがあったなら、俺は間違いなく称号『勇者』を獲得しているさ。

 命を賭けた戦いに、ギリギリで勝利しているんだからな。 



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