違法侵入者 その15
タクマから、『DDD』関連の情報を貰っている。
統括っぽい『AAA』が一番ヤバいのは分かるが、二番目は『EEE』とのこと。
「まずこの『EEE』なんだが、表向きには合法のクランになっている」
「……知られているのか?」
「暗黙の了解だな。名前からしてまったく隠していないし、潰すと『AAA』やら他のクランとの繋がりも無くなる。何より、実力があるからな。上は動かんし、それ以外も動けないってわけだ」
「その実力について、詳細はあるか?」
「合法クランだしな、ある程度は開示されているぞ──こういうのとかだな」
アイテムとして出されたのは──新聞。
そこには取材を受ける美男子の姿が映っており、まるで非合法クランとの関係性を疑わせない発言が記述されている。
「……新進気鋭のエリート若社長みたいな雰囲気が凄いな」
「ジンリも似たようなものだろう?」
「アレはなんていうか、酸いも甘いも噛み分け……じゃないな、しゃぶりつくしてるんだよ。人生二回目の転生者みたいな。うん、ノリノリで賭けとかしないだろ」
「いや、お前を上に置こうとかギャンブルしかしてなくないか?」
「…………いやまあ、そうだけど」
俺というギャンブル要素はともかく、ジンリの手堅い経営方針によって社員が誰一人として路頭に迷うことなく大儲けしているのだから間違いない。
まあともあれ、今はこの若社長風の休人についてだ。
これまでにやってきたことも書かれていたのだが、何とも凄い。
たとえば固有種の討伐──村を襲う個体に単独で挑み、犠牲を出さずに守り抜いた。
たとえば要人との交渉──休人を拒んでいた国が、彼との交友で鎖国を解いた。
たとえば新情報の開示──いくつもの失伝した職業や技術を発見、タダ同然で広めた。
「何、この聖人みたいな経歴……。これを隠れ蓑にできるわけないだろう」
「サブオーナーが相当上手くやっているってことだろう。ああ、言っておくが確実に協力自体はしているぞ。オーナーは何も知らずに協力させられている、なんてたまに漫画でありそうな話は無い」
「清濁併せ呑むってヤツか。まあでも、逆にこういうヤツならやるかもな。知らないでいるよりも、自分がストッパーとして本当にダメなものは抑えるとか。それができる実力もあるみたいだし」
「まあ、それでも『DDD』の殺人を全部は防げてはいないんだけどな。いちおう休人を殺すように誘導はしているらしいが」
絶対に殺しても蘇る休人の方が、原人を殺そうとするよりマシということか。
その辺を彼がどう考えているのか分からない、すべてを守ることは不可能だしな。
※クラン『EEE』
正式に認められたクラン
基本的にやっていることは人助け
ただし、ボランティア集団のように人を集めるということはなく、少数精鋭で運営されている
その名前から『AAA』から成る非合法クランとの関係性が疑われているものの、確固たる証拠もなく、また彼らに救われた者たちもそれなりの数がいるため、星々も強権を振るうことは無い状態
p.s. 無字×886
いろいろと書いている……はずの作者です
おかしいな、ここの数字だけは増え続けている
先日はカクヨムの方で、お馴染み(?)の情報開示をサポーターさん限定でやっていました
当作「虚弱生産士」と別作「自称偽善者」を作者のノリ次第で適当に出しています
今回は後者のうち、「すくいのまおう」と称される存在について
……読める人がごく僅か、というか一人しかいない現状
それでも作者は、サポ限を止めない!!




