違法侵入者 その11
相手を追跡する『チェイスチェイン』の発現者にして、【地図王】に就く『DDD』のサブオーナー。
周囲の闇で攻撃したところ、繋がりを辿り俺に直接鎖を向けてきた。
目的の品である目印の『プログレス』はまだ壊せていない……相手も警戒しているし。
「“千変宝珠・闇”、アレンジ『鎖』」
「なるほど、ではこちらも追加です」
万能の魔術を闇属性で展開、“万闇統一”の力でその形状に一工夫入れる。
出来上がった闇の鎖を走らせれば、同じ数だけサブオーナーも鎖を増やし対抗。
あらゆる方向、そして影からも忍ばせて向かわせているのだが、そのすべてに鎖は対応して迎撃されてしまう。
さすがは『チェイスチェイン』。
一度記録した対象の攻撃であれば、効果範囲に入った時点で対処することができる。
サブオーナーはその数を増やし、代わりに効果範囲が狭まっているはずだが……そこに【地図王】が加わると話が変わるのだ。
その能力は記録した範囲への干渉。
要するに、事前に地図を作っておけば自分の力をある程度拡張して届けられるようになる──鎖もまた、対象に含まれ伸びていく。
同一のマップ上であれば、たいていのことはできてしまう。
そこに、対象の座標をピンポイントで暴ける『プログレス』が加わるのだから大変だ。
「あまり時間を使いたくないのは、お互い様ではありませんか? こちらとしても、ああも拠点を破壊されてしまっては溜まったものではありませんし」
「不当に話です。勝手に乗り込んだ挙句、勝手に場所を占拠している方々の言葉とは到底思えませんね」
「仕方ありません。用心棒を務めたいという我々の主張は跳ね除けられてしまいましたので、その実力を見てもらうためにも決死の覚悟でここに居ます」
「それが不要だからこそ、私はこうして立ち退いてもらうためにここに居るのです」
一本、また一本と鎖を増やしていく。
するとサブオーナーの顔がだんだんと苦し気なものに……そう、消費は軽いものだろうが決してゼロではない。
対するこちらはエクリなので、回復速度も尋常ではないため何も気にせず使える。
そうして、鎖を五十本まで増やせば──ついに数が上回った。
「くっ……!」
「なるほど、飾りでは無かったのですね」
すると、サブオーナーが腰に下げていた鎖が動き出して新たに増えた闇の鎖を迎撃。
それから『チェイスチェイン』製ではない鎖が、何本か至る所から現れる。
「いったい、どれだけ増やせるのです!? 半自動系にしても、多過ぎます!」
「ああ、言っていませんでしたね。数はそうですね……百、自動操縦とだけ言っておきましょうか。いやー、数の力は偉大ですね。示すだけで、貴方のような反応を見ることができますので」
「…………はは、趣味が悪いですね」
うん、時と場合が違えば絶対に自分だって言いたいくせに。
鎖の数を誤魔化し、また戦闘スタイルも隠しているだろうサブオーナー。
その余裕の仮面が剥がれるくらい、数の暴力で圧し潰しているからこその今である。
乾いた笑みを浮かべる彼に、俺も笑みを浮かべ──百本の鎖を一気に向かわせた。
※【地図王】の戦闘スタイル
基本はロックオンして『チェイスチェイン』で蹂躙
そして、相手が本数を勝手に思い違いした時に隠蔽系の効果付きの鎖を飛ばして仕留める
──【地図王】(として)の戦闘スタイルは、こういったもの
p.s. 無字×882
うーん……時間の遣い方ぁ
少し前から、またノベプラの方でマラソンが始まりましたねぇ
今回のお題はオカルトらしいです…………全然思いつきません
まあ、いつものような感じで最低文字数ほどの短編を期間中に投稿していきますので、お暇……というか本当に何もすることが無い人はぜひとも




