違法侵入者 その02
──闇クラン『DDD』。
休人たちが結成した非合法なクラン。
所属するメンバーは何かしらの犯罪で指名手配されていて、加入するメンバーもそれが求められているらしい。
「──タクマからの情報だと、結構な犯罪をやっているみたいだな。国宝を盗むだの、休人を殺しまくるだの……原人を殺した奴もいるみたいだ。まあ、蘇生はできたようだが、殺人は殺人だしな」
《すでに星層監極に収容されているようですし、脱獄するまではその休人が戻ってくることは無いでしょう。不死の命と限られた命の違いがあるからこそ、権能持ちすら動かし粛正を行っているようです》
「だが今回、それでもそんな連中が潜り込んでいるんだよな……人殺し、か。国家じゃない、絶好の隠れ場所で何かを企んでいるってことなのか」
双子の異界は彼女たちの意思で自在に場所の変更ができるし、おまけに今は迷い込んだ原人は存在しない。
所属というかなんというか、いろいろとしがらみが無い状態なんだよな。
そこに付け込み、死者は居ないが被害を出しているのが彼らというわけだ。
「薄めた蘇生薬が売れているのも、こういう連中が居るからなんだよな。有るか無いか、それだけで緊急時の対処が違ってくる」
《完全な蘇生魔法は希少ですし、そうでなくとも蘇生に関する魔法は高位の術者などに限られています。それを簡易に、かつ誰でも確実に可能となる旦那様の蘇生薬は、今の世界にはとても価値ある品と言えましょう》
「……何というか、マッチポンプ感が高い気もするけどな」
殺すのも生かすのも、どちらもメインは休人なわけだし。
原人にもまったく居ないわけじゃないが、彼らは基本的に命の価値を認識している。
したうえで行っている連中はともかく、休人の中には覚悟も無しに殺す連中が居るからな……ゲームだから、とかこちらの連中からしたら溜まったもんじゃないだろう。
それをするのが『DDD』など、非合法クランの連中なのだ。
──そして、そんな連中の拠点となりつつあるここを救うのが、今回のお仕事である。
「えっと、まず連中は『プログレス』でここに出入りするようになっているんだよな」
《はい。あくまで彼ら自身がそう宣言しているだけのようですが、何度追放してもいつの間にかここに戻ってきているようです》
「それは少なくとも職業能力やスキルではなく、遺製具か『プログレス』の仕業だと」
《彼女たちの権能は、直接影響を及ぼすものではございませんので。それでも、命を代償に用いた禁忌魔法やそれと同等の変化の権能でも処理が行えない以上、最上位職や理から同等レベルで外れたナニカの仕業でしょう》
まあ、嘘を吐いている可能性はともかく、彼らがここに出入りする手段には何らかの仕掛けがあるわけだ……それを無力化し、正規の方法以外で来れなくすれば任務達成だ。
※殺人行為
休人が休人を殺す分には、国からお咎めは無い……必ず復活できるので
しかし原人が殺された場合、蘇生の確約ができないので犯罪行為として認定
重い罪が課せられ、牢/監獄に収容される
休人の場合、重罪や指名手配などの条件を満たした者はリスポーン地点が『星層監極』となる
p.s. 無字×873
仮眠、のち爆睡
起きたはずなのに……やっぱり寝落ちする作者です
春眠暁を覚えずと言いますが、暖かな陽気が無くとも人は意識を失えます
寝る……ではないですね、本当いつの間にかガクッと落ちてるんですよ(涙)




