装備補正 後篇
装備品の補正、それは俺にとって無意味だと改めて痛感した。
せいぜい、全身鎧か着ぐるみぐらいだろうか……他は基本、その装備に殺される。
「うん、別のことを考えよう。防御以外の効果付きの装備は、だいたい身を滅ぼす……器用さなら別だけど、それはまあ能力値の中で唯一育っているし」
これまであれこれ語ってきたが、結局はこれに尽きる。
俺が乗算式は本人のスペックに合わせて力の入り具合が変わるが、加算式は違う。
セット効果は別として、アイテムの一つひとつがソレのみで完結している。
防御力が高い鎧はそれそのものが硬いのであり、着用者が硬くなるわけではない。
まあつまり、そういうことである。
もし痛いのが嫌だから防御力に特化させたとしても、それが装備品のみの話なら、装備の内か外から届いた攻撃で即死なわけだ。
対策としては、職業スキルで自身の能力値に補正を加算させるぐらい……だろうか。
実はあるのだ、ハズレ職だのネタ職だの言われている職業には、加算式の補正も。
「でも、職業関係は後回しかな……特に条件職なんてのは、必ず面倒な条件が一つか二つ存在するし」
《それゆえの条件職ですので。【救星者】の効果で条件を把握できる旦那様でも、すぐには満たせないものばかりです》
特定の場所に行く、だの特定の行動を何回やるだのいろいろと面倒臭い。
無職であることが前提の職業、なんてのも存在している。
昔は一番最後のヤツはできなかったが、今はアイスプルの理でいちおう可能になった。
同様に、可能性がある住民に満たしてもらえば条件職もいつかは就けるんだよな。
「だが今じゃない。そもそも、誰も就いていない職業には【救星者】も条件の開示をしてくれないし、最低限情報が必要だ。神代にはそれらを網羅したナニカもあったらしいが、案役街にも無いソレは遺失扱いだ」
《申し訳ございません。暗躍街、及び案役街には必要のない情報として保存されなかったようで……》
「まあ、あそこって娯楽を入れたノアの箱舟みたいな感じだしな。わざわざ残して、人々が最上位職の奪い合い……みたいな展開は阻止したかったのかもな」
定員が存在する最上位職、例外もあるが基本的に極級職は独りしか就けない。
文字通り選ばれし者だけの特権、その対価は大きく就ければ理論上無限に強化できる。
職業の剥奪は『騎士王』など、特別な立場の者にしかできない関係上、普通は就いた者から奪い去る方法は一つのみ──殺し合い、それをさせてしまうことになるだろう。
「まあ、あそこに保存されたヤツらの職業は喪失しているから、今は枠が空いているとは思うけど…………あの人たちが起きたら、どうなるんだ?」
《すでに試練を達成した者が再就職する際には、いっさいのしがらみはございません》
「早い者勝ちなうえで、優先して就く権利があると……有名なテーマパークによくあるヤツだな」
なお、俺と『SEBAS』は案役街に居たとある元『超越者』たちから情報を得ているため、いつかは今の世界に興味を持ち起きてくるかもしれない。
彼らもまた、神代において高い技術力により最上位職を手にしていた者たちの一人。
……枠の奪い合い、それは原人と休人の間だけでなく、過去と今とでも起きるかも。
※最上位職
いわゆる固有職、基本的には超級職と極級職が存在する
共に人数制限が存在し、前者は複数で後者は独りのみ(例外あり)
某作品のパク……似た仕様だが、あちらと違いこちらには権限持ちによる剥奪が存在する
そのため、死んでも蘇り資格を確保し続ける休人であろうと、独占し続けることはできない
p.s. 無字×871
現在、やっているソシャゲは三本の作者です
どれもガチではやっていないのでそこまで時間は使わないのですが……デイリー系だけは、割とやってしまうんですよね
そして、読書……他の作品に影響を受けて、設定だけは増えていきます
もともとが薄っぺら……もとい秘密が多い分、後から増やしやすいからですねぇ




