特殊耐久サバイバル部門閉幕 その02
時間加速が普段以上に行われていた、今回のイベント。
帰還後はすぐポイント交換を行い、現実の肉体を『SEBAS』に見てもらう。
「集計中だし、ポイントでの直接の交換以外は無理か……うーん、暇になったな」
ホテルのベッドに体を倒し、横たわる。
ゴロゴロと寝返りを打ちつつ考えるのは、今回遭遇した魔獣たち。
「あれらが生息する領域が、どこかの世界のどこかにはあるんだよな……空間の魔獣なんて、いったいどうやって見つけたのやら」
魔獣たちもまた、俺たち同様にイベントのために招かれた客人(魔獣)というわけだ。
その場で生成されたNPCというわけではない、それまでの人生……魔獣生がある。
どうしてわざわざそんなことを考えているのか、その理由の一つは今回得た星樹の枝。
……いやほら、一本あるなら周辺にもありそうじゃんか?
「他にも星を冠するアイテムはあるし、そういうのもコンプリートしていきたいな」
俺が作り上げた星具たち、それらに用いられている星関係の素材は:DIY:で生み出したものであり、本物と違い長い年月を経て得た特殊性などは持ち合わせていない。
だからこそ、イベントで星樹の枝を得て解析した結果でかなり驚いた。
なんせ枝一本でもハイスペックなのだ、本体はいったいどれだけ凄いのやら。
「……なあ『SEBAS』、星樹の枝をアイスプルに持ち込んだら何が変わるんだ?」
《単純に世界樹のスペックを強化できます。また、その星々の特徴にあった素材なども生成されることでしょう》
「枝の秘めていた効果は、その世界由来のものだったわけか……アイスプルの場合、どういう効果になるんだ?」
《現在、アイスプルには職業に関する理が敷かれておりますので……そちらになるかと》
「うん、なかなかにおかしくなりそうだ」
多くの職業に適性を示せない俺は、アイスプルの理によって住民たちの適性を借りて、いくつもの職業に就いていた。
それ以外に特別な理は設けていないし、現状のまま星樹が枝を伸ばせば、そちらに関する効果になるのだろうか……うーん、いいような悪いような。
「さすがに最上位職は関わってこないだろうが、どうせなら住民たちも恩恵にあやかれるような物だといいな」
《大丈夫でしょう。旦那様がそう望むのであれば、必ずや星樹も応えるでしょう》
「そういうものかね……『界樹の神子』とかなら、分からないでも無いけど──ってそうだそうだ、忘れてたな!」
大慌てで『プログレス』をインストール、能力を起動。
展開し、生成されたそれを握り締める──それは二つの指輪だった。
※星樹の性質
どこかで開示したと思うが、世界樹とは似て非なる存在
世界樹があれば世界は維持しやすいし、星樹があれば世界は存続しやすい
──維持と存続、似ているようでどこかが違う
──分かりやすく言うと、穏健派か保守派か
p.s. 無字×845
やはり喉が痛い……でも熱とかは全然な作者です
心当たりはたくさん、しかして治らない
喉飴を定期的に摂取し、いつか治ればいいなぁと適当な作者でした




