特殊耐久サバイバル部門後篇 その10
空間領域(仮)
ネズミ型の魔獣が支配を完了し、平原の中立地帯は火山の領域と化した。
用が済めばあとは撤退するだけ……逃げ遅れた人には、犠牲になってもらおうか。
「──閉じましたね、門」
「ええ、残念ですがこれもまた取り決めの通りですので。お帰りなさいませ、皆様方」
火山領域へと上書きされる平原から帰ってきた俺たちを迎えてくれたのは、毎度お馴染み女性に擬態した魔獣に連なるナニカ。
すでに他の領域は撤退を済ませていたようで、行きに見た門は自分たちが出てきた場所以外、すべて無くなっていた。
そして、定刻になるとその門もまたスーッと空気へ溶けるように消えていく。
……何やら叫ぶ声が聞こえた気もするのだが、その声の主はこの場には居ない。
「はい、それではしばらくは自由時間となります。お伝えしてありますが、侵攻は一定周期で行われます。基本はその時間に来ていただければ大丈夫ですよ」
なお、魔獣との戦闘は侵攻時以外でも可能なので、参加者たちが徒党を組んで攻め入った時、やる気のある裏切り者はそちらに参戦できるとのこと。
混ざる混ざらないは自由だが、魔獣によっては裏切り者であろうと容赦なく戦闘に巻き込むらしいので、わざわざ参加する必要は無いだろう。
「──様子は?」
《空間の間に設置したドローンは、そのまま存在を消失されました。また、平原に居た裏切り者は拘束されました。現在、情報収集のために尋問が行われています》
「それは恐ろしい……まあ、方法は特殊なんでしょう?」
《はい。料理や女性陣による誘惑などが行われていますね》
「ははっ。露骨にえげつないことをしても、問題視されるでしょうしね……」
視界の共有はしないものの、情報源として丁重に扱われていることは分かる。
口封じの策はあるかもしれないが……そこはまあ、サービスしておこう。
「では、済ませましょうか」
《──起動。死亡を確認しました》
時間も余裕もあったので、レアな素材を使い作り上げた超小型ドローン。
これを門を通る前に落としておいて、捕縛された参加者の下へ送り込んでいた。
あとは至ってシンプル、好きなタイミングで中に仕込んだ毒が注入される。
普通ならたった一滴で死ぬはずもない毒、だがその毒は『死天』製の逸品だ。
蘇生も『プログレス』を組み合わせればできると参加者たちが証明してくれたので、わざと服毒自殺でアイテムを生成後、それを仕込んでおいた。
蘇生など到底不可能。
少なくとも元平原に居た参加者たちは、貴重な手掛かりを一気に失ったわけだな。
※慈死の雫
特殊称号[死天]によって生成された、超致死性の毒を加工して作られたアイテム
人体が触れた場合にのみ、強烈な毒性を発揮して対象を殺す
ただし、苦痛は一切なく一瞬で死ぬ
内部を毒で侵食し、蘇生不可能な状態にするなどかなり卑劣な仕様
──生きることこそが苦痛であろう。なれば誰にも邪魔されることの無き死こそ、これ以上ないほどの慈悲ではなかろうか
p.s. 無字×803
生きているって重要ですよね、読み書きしたいですし……な作者です
もう今年も一月で終わりです
やり残したこと…………は上にたっぷりあるや
いつか、そういつか……ここがゼロになると誓いたいですね
現状では無理なことは間違いないです
思念式の入力がやりたいなぁ、時代よ追い付いてくれ!




