特殊耐久サバイバル部門前篇 その46
丘陵領域
魔獣たちはどうやら、何らかの形で組織的な行動をしているようだ。
魔獣陣営が派遣した、女性の姿をしたナニカから俺はスカウトを受けた。
「はてさて、どうしたものかね……」
こんな風に呟いているものの、正直俺の中で答えはほぼ決まっている。
──受ける、だがそれに伴う問題をどう解決するかが今の悩みであった。
「というか、魔獣たちはどういう約定で動いているんだろうな。さすがに全員が協力体制で……ってわけじゃないんだろうし」
《侵攻そのものでしょう。一度に行う侵攻は隣接する区画のみ、また時間制限や能力行使も条件付けをして、どの魔獣でも勝者になり得る可能性を残しているのかと》
「……あー、アレか。能力値が高いヤツが最初から無双して終わらせないように、頭のいいヤツが仕込みをする時間を……みたいな感じ。加えて、魔獣同士で手を組んで他を片付ける的なやり取りもできなくはないか?」
《それも含め、取り決めを用意しているのでしょう。そして、旦那様たちに声が掛かったのもその一環です》
魔獣たちが領域を奪い合いなどせず、いきなりバトルロイヤルを始めていれば、矮小な人族ばかりな参加者たちはその大半が初日で退場となっていただろう。
だがそうはならず、むしろ魔獣と手を組み生き残ることを選ぶことができる。
無論タダでは無く、彼らにとって使える存在だと示し続けないといけないわけだが。
「……家族が居る場所に限って、俺が自由に動けるようにしてもらえるかな?」
《おそらく問題ないかと。当然、該当する領域の魔獣とその同盟者は拒むでしょうが、それ以外の魔獣たちからすれば、討伐されやすくなることは損ではございませんので》
「そうか……うん、あとは俺以外の招かれた連中についてだな。普通の参加者も含まれているのか、それとも……俺と同様に逸脱したナニカを持っているのか」
俺であれば当然、星敵の権能。
参加者にどれだけ『プログレス』、擬似権能ではない本物の権能を持っている者が居るかは分かっていない。
だが、彼らは基本的に星の意を受けて行動する場合が多かった。
だからこう邪推してしまう──
「……なーんか、ありそうなんだよな」
《と、申されますと?》
「魔獣は強い、が参加者たちが真に力を合わせれば倒せないわけじゃない。だけど、星が求める力量はそんなものじゃない……それこそ逸脱した連中に匹敵する、そんな強さが最終的には必要なわけだし」
星の管理者になれる【救星者】、そして種族レベル999の到達特典である知識。
これらにより、俺はEHOにおけるラスボス候補を把握していた。
星はそれを討ちたい、だが今の休人・原人たちでは遠く及ばない。
より強さを求める必要性、もしかしてこのイベントにはそんな理由もあるのでは?
※ラスボス候補(仮)変更するかも
実は他作品にて、ヒントは出ております
同一の存在では無いのですが、ある意味似ている存在?
言うなれば……IFみたいな感じでしょうか?
通ってきた過程が違うというか、そもそも生まれた場所の違いが重要というか
EHOサイドでは、その断片的な情報を虚弱な生産士が知っているからこそ、情報が出た作品とは別ベクトルからラスボス候補に関する発言が出てきます
p.s. 無字×789
改めて、とんでもなく風呂敷を広げているなぁと遠い目になる作者です
無字の話がここまで増えているのに、どうしてこうもやってしまうのやら
これだけの話を一気に埋めれば、あちら側にも進展があるのかしら?
…………正直、そんな未来が視えてこない、どこまでも続く物語が大好きな作者でした




