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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
手を染めた背理と背離する決戦

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特殊耐久サバイバル部門前篇 その42



 向かうは丘陵の中立地帯。

 谷への支援はドローンで済ませ、もう一つの隣接地域である列島については、ショウとその仲間たちにお任せだ。


「──ここが丘陵。うん、丘だな」


 なだらかな丘、そして広がる緑。

 何というか、農牧地やら果樹園まである物凄く生活しやすい場所である。


 当然、そんな食料に困りそうに無い場所なのでかなりの参加者たちが拠点にしていた。

 魔獣からの侵攻に対抗し、武器を以って待ち構えていた──はずだったのだが。


「あーうん、仕方ないよな。別に、ヤドカリだけじゃないもん、魔獣は」


《やはり、住みやすさに比例して魔獣たちのターゲットになりやすいのでしょう。豊穣の地であるほど、魔獣にとっても糧としやすいのかもしれません》


「谷は霧ばっかだし、狙う価値はあんまり無かったってことか? ……じゃあなんで、最初にそっちを狙ったんだろう?」


《他の魔獣と接触しづらい、といったところでしょうか? 入り組まれた地形を利用すれば、他の魔獣と侵攻が重なった場合もすぐに対処が可能ですので》


 参加者たちは他の領域からの侵攻に、絶賛対処中である。

 最低限の砦と監視員しか居らず、ほとんどが先に来ていた魔獣の方に向かっていた。


「ヤドカリについては、先んじて情報が伝言ゲーム感覚で伝わっていたかな? まあ、そういう『プログレス』もあるみたいだし」


 ヤドカリが山岳領域の魔獣である、という情報は本来不明だ。

 なぜなら、普段は山岳領域と同化して存在の隠匿を図っているから。


 ではなぜそれを知っているのか、渓谷から丘陵へ引っ越した者が居る可能性もある。

 それよりも可能性が高いのは──情報共有の場から得たというパターンだ。


 現状、[掲示板]は使用不可である。

 接触した相手とならば、同じ区域か侵攻時はその隣接地域限定で[ウィスパー]なども使えるようだが……今はいいか。


 だがそんなルールを打ち壊す、擬似権能がいくつも存在している。

 それにより、最低限の情報共有が行われているわけだ。


 なぜそれを俺が知っているか? そりゃあ俺も“神持祈祷”で試しているから。

 女神プログレスの加護があれば、誰でも使えるのもいいところだ。


「……まあ、どうやらタダってわけでもないみたいなんだけどな。っと、そうこうしている間にこっちにも人が集まって来たな」


 谷の中立地帯で死に戻りが可能になっていたように、こちらでは各戦線へ転移できるように仕掛けでも施してあったのだろう。


 多くの参加者たちが砦に集結し、ヤドカリに向けて攻撃を始めた。

 谷の時とは違う、入念な準備から成る攻撃にヤドカリも少々動きが止まる。


「そうなると、乗っていた魔物たちも反撃に動くわな……どんどん周囲が凍っていくよ」


 氷山タイプのヤドカリに乗っていた魔物たちは、当然氷系統。

 周囲は吹雪き、凍てついていく……侵攻はまだ、始まったばかりだ。



※“神持祈禱”

聖職者系職業の共通能力

授かった加護の能力を強化して行使できる

なお、加護以上の祝福を強化する場合は、より階級の高い職業が必要となる


p.s. 無字×785

予定が全部遅れていく、諦めの境地にいる作者です

最近語り続けている落ちモノゲーのスコアカンストが遠い……

超絶頑張る+運でギリ三万しか出せない作者には、時間が足りないようです

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