特殊耐久サバイバル部門前篇 その41
更新されたランキングを確認し、魔獣が一体も討伐されていないことを確認。
同時に、ベスト10に入っていることも知ると……ヤドカリが再び侵攻を始めていた。
「隣接している場所全部に行くのか……そうなると、とりあえず、谷はもう充分だな」
すでにヤドカリも、渓谷の領域を模した個体の分裂は済ませている。
なお、霧は生み出すその個体からも、隠蔽の雫は得られたが……質が劣化していた。
この個体が更に侵攻を重ねた時、雫の質がどうなるかという疑問はあるのだが、そこまで進めると、渓谷の中立地帯が山岳領域に侵攻されそうなので止めておく。
「『SEBAS』、他の領域でも魔獣は動いているのか?」
《はい。複数の中立地帯を同時に侵攻する領域はそう多くありませんが、侵攻につきましては観測できているすべての領域で始まっているようです》
「そうなると、やっぱり一定期間が経てば魔獣たちが動き出すのは予定調和ってことになるな……さて、どう補助していくか」
東側にある谷はとりあえず支援確定、ヤドカリをこれ以上強くする必要は無い。
問題は南北の隣接地域──丘陵と列島、特に南側にはショウが居るはずだ。
「……まあ、ショウたちにはサバイバルを純粋に楽しんでもらいたいし、野暮なことをするわけにはいかないな。列島はパス、結果はどうあれ何もしないでおこう」
《そうなりますと》
「そうだな、丘陵の区画も放置だな。逆に谷はヤドカリ討伐でいいし、丘陵で取れるアイテムを探りながら観察しておこうか」
中立地帯は何かしら、魔獣に対抗するためのアイテムが採取できる。
谷であれば魔獣から身を隠す雫、他の中立地帯でもいくつか確認されていた。
魔獣の領域である山岳領域の周りは、そうしたアイテムが採れる中立地帯。
この辺もまた、どこを残してどこまで発展させるかの鍵となりそうだよな。
◆ □ ◆ □ ◆
≪隣接領域との接触が行われました≫
≪隣接領域との接触が行われました≫
≪隣接領域との接触が行われました≫
開幕の合図は三連発。
予想通り、動き出したヤドカリたちは東南北に向けて侵攻を始めた。
「……よし、あとは用意しておいたアイテムが自動で送られるようにすれば完成だ」
渓谷の中立地帯に対して、ドローンで支援をするのが今回のお仕事だ。
丘陵については、手を出さないでどうなるのかを眺めるだけにする。
少なくとも、谷の方は侵攻を完全に済ませずとも分裂に成功していた。
なので多少地形破壊ができれば、分裂してくれるだろう。
「──よし、レッツラゴー」
前回同様、侵攻に向かうヤドカリの影に潜み同伴開始。
──なお、今回のヤドカリは、まさかの氷山タイプです。
そんなこんなで、(他所からすると)大侵攻が始まるよ♪
p.s. 無字×784
お察しの通り、出勤間際です
すみません、これに失礼!




