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推薦承認制度



「……で、これはなんだい?」


「何って、ポーションですよ」


「うん、それは分かるよ──けどそうじゃなくて、この質について訊いてるんだよ!」


『錬金王』の館から帰還後、ポーション納品のついでに、ギルド長にポーションの販売を行うことにしてみた。


「解呪ポーション、レベル五。でしたか? 知り合いに習ったレシピを元に作ってみた物ですけど、通用しますかね?」


「……また理不尽な。材料だって、そう簡単に集まる物じゃなかっただろうに」


「まあ、そうでしたね」


 幸い、魔物由来の素材を使わない、超貴重な薬草などを使えば作れるレシピが有った。

 なので:DIY:で用意して、パパッと生み出してみた結果がこれである。


 ──レベル五。

 どこかの学園都市みたいな設定だが、状態異常の症状をレベルで分けた中で、ほぼ(・・)最高位のものがそれに位置するらしい。


「君の蘇生薬はレベル六だから、もう空想上の産物。夢だと思えるからこそ、隠蔽も容易くできた。けどこれは……」


「レベル五は本当に優れた生産師が、国宝級の素材を使うことで百個に一度成功する。つまり、実在は確認されている」


「ハァ……。これで君は何をするんだい? いっそ、他の休人のように広大な土地を貰って国を築いてみるかい?」


「いえ、それは遠慮願います」


 国という狭い範囲ではなく、星という広大な領土を持ってますので。

 今さら国を持とうと、経営難で破滅する未来しか浮かびません。


「実は……その、せっかくなので店を始めてみようかと。行商人として」


「ふーん。それなら、商人ギルドに行かないと登録できないよ」


「はい、それは分かっています」


 店を持たない行商人も普通の商人も、正式に商人としてやっていきたいのなら商人ギルドに登録する必要がある。


 ──今の俺は生産ギルドに寄生しているだけ、つまりはただのエセ商人だった。


 しかし、『SEBAS』に調べさせてみれば商人ギルドはガチで怖いと判明する。

 ごく普通のサラリーマンなど、搾取する餌にしか見てもらえないだろう。


「なのでギルド長。貴方の推薦商人として、私を登録させてくれませんか?」


「ぼくが、君を……それがどういう意味か、はもう分かっているんだね?」


「無意味に奪われることだけは、絶対に避けたいですから」


 推薦商人制度。

 物凄く要すると──こいつは俺の獲物だ、だからちょっかいかけるんじゃねぇ。と周りに伝える制度である。


 昔、目にかけて商人にさせたはずが、周りからのやっかみでソイツが田舎に引き籠もるという事案があってから生まれたらしい……よく分からないものだ、世の中は。


「まあ、構わないよ。ぼくは」


「本当ですか!?」


「うん、君が自分から首輪を付けてくれるんだし、何も文句は言わないさ」


 それを理解しているギルド長は、紙を取り出してスラスラと何かを書いていく。


 首輪って……それが意味をなさないことも分かっているのに、食えないお人だ。



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