表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/3045

錬金王 その03



 再び移動、今度はかなり長い。


「師匠様は地下で眠っています。侵入者に狙われても大丈夫なように、厳重な警備が設置されてますので。ボク以外の者が入るのは、困難ですよ」


 途中、目に見える形でゴーレムが置かれていたり、壁と同化して隠れるゴーレムなどもいたしな。


 ユリルの歩く場所以外トラップだらけ……なんて場所もあった。

 その仕掛け自体は『錬金王』が用意していたらしいが、それを作動させたのはユリルだそうだ。


「大事なんだな、『錬金王』が」


「ボクの師匠様で、お母様ですから」


 ……はい、性別分かっちゃいました。

 なんだか最近、女性との出会いが多い気がするな。


 俺はルリ一筋であって、他に誘惑される気はまったくないんだが。

 ……サ、サキュバスなんかが居れば、は、話は別だけどな。




 そして辿り着いた地下、そこには巨大なカプセルが設置されていた。

 中には不思議な液体が詰められており、そこで一人の少女(・・)の裸体が浮かんでいる。


「子供? 『錬金王』の年齢って……訊いたら不味いでしょうか?」


「師匠様は不老ですから。ですが不死ではないので、このような事態に陥りました」


 不老不死ってのは、プレイヤーみたいな奴らのことだよな。

 まさに死兵、そこに明確な利益さえあれば命すら顧みずに突撃するんだから。




「師匠様、今お助けします」


 ユリルがカプセルの周辺に置かれた台の上に、自ら作り上げたエリクサーを配置する。

 そこには魔法陣とカプセルに繋がる管が取りついており、どういった用途かがすぐに理解できた。


 エリクサーを入れた容器の蓋をポンッと開けるとユリルは、魔方陣の中心にポツンと空いた管に繋がる穴に注いでいく。

 同時に魔力を魔方陣に籠め、エリクサーに何かを付与してから送り込んでいる。


 エリクサーの輝きがいっそう増し、輝きは管を伝って少女の入ったカプセルに届く。

 すると、液体が同色に発光を始め、眠る少女を包み込んでいった。


「あとは、師匠様が目覚めるときを待つだけです──それしか、ボクにはできません」


「どれくらいかかるんだ?」


「師匠様次第です。すぐに目覚めるかもしれませんし、悪ければ何十年も……」


 ……うーん、そんなに待つのか。

 なら、もう諦める方がいいかもしれない。


「そうですか、では──」


 帰ろうか、そう言おうとした瞬間、カプセルから罅が入る音が発生する。


「師匠様!?」


 慌ててカプセルに近付くユリル。

 罅は少しずつ大きくなり、ついにはカプセルが耐えられない程亀裂になり──甲高い音と共に、内側から破壊された。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ