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錬金王 その02



「──書斎は向かって三つ目の部屋です。今は集中したいので、『生者』さんには申し訳ありませんが……」


「構わないさ。少し読ませてもらうよ」


 などというやり取りがあり、現在俺は高速で本を捲っている。

 そのすべてが『SEBAS』へ届き、のちに知識として蓄えられていくのだ。


「さすが『錬金王』の書斎、まだまだ隠している情報があるというのに、それでもこれだけ成果があるとは」


《一般の方法とはまったく異なる錬金のレシピ、旦那様が願っていた物ですね》


「一般向けの物なら、どうにか集められたけど……こういうのは錬金術のエキスパートにしかできない方法だからな」


 魔道具ならば称号で知識がダウンロードできるが、それ以外の生産に関する知識は空っぽと言っても過言ではない。


 なので、このように実地で情報を手に入れて『SEBAS』へ送り、あとでじっくりと理解するようにしていた。

 俺にその場で理解しろと言っても、ほぼ不可能だからな。


「しかしエリクサーね……まさか鍋で煮詰めたポーションが、先代の『錬金王』を救う鍵になるとは思ってもいなかった」


 それは、ある種の出来心だったんだろう。

 暇潰しのついでに錬金を行おうと思い、巨大な釜に適当に集めた素材をぶっこんでグツグツと煮てみたんだ。


 すると、:DIY:発動中だった俺の体からありえない量の魔力が引き抜かれ、鍋の中身が不思議な色に光った──それこそがエリクサーだった。


「幸い、ありえない程材料を突っ込んだからたくさんあるけど……何を入れたかまったく覚えてないからなー」


《解析は行っていますが、旦那様の尋常ではない魔力による変質の影響か、元の素材を解析するのが困難で……》


「まあまあ、あとでエリクサーの作り方を訊いて同じ方法を試してみればいいさ。そうすればエリクサーの大量生産の目途がつく」


 これも薄めて売り捌けば、状態異常に強いポーションとして儲けが出るだろう。


 蘇生薬と万能薬、どっちも持ってる俺ってどうなんだろうか?




 高速で捲っているためどんな内容か見当がつかない物もあるが、どうにか全ての本を捲り終えると──ユリルが入ってくる。


「『生者』さん!」


「ど、どうしたんだい?」


「か、完成したんです! ついに、師匠様を救うためのエリクサーが!」


「おおっ、やったじゃないか!」


「はい!」


 ここで手に持っていたエリクサーを慌てて落とす……なんてベタな展開はなかったし、そもそもここに持ち込んでいなかったので、一度錬金釜がある場所に戻る。


「これがエリクサー、万物を癒す霊薬です」


「そうか……凄いな、ユリルは」


「そ、そんな。これはすべて、師匠様の手帳が有ったからこその結果です」


 ユリルの手には、酷く古びた手帳が握られていた。

 本当ならそれも読んでみたいが……今は、止めておこう。


「できるなら、私も『錬金王』の復活の立会人になりたいんだが……迷惑かな?」


「とんでもない! 『生者』さんのお蔭で最後の材料が手に入りました。師匠様も、文句は言いませんよ!」


 さて、そんなわけで『錬金王』が復活することになる。

 ……というか、エリクサーが必要になる状態ってどんなものなんだ?



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