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VSカエル



「おっと、ここか。広い場所に出たな」


 少年とカエルを追いかけた先で見たのは、小さな泉であった。

 泉を超えた先が次の区画のようだが、今はどうでもいい。


「少年は……いた、あれか」


 現在、少年はカエルと泉の間に位置する場所でジリジリと後退していた。

 手探りで自身の体をペタペタと触れていることから、なんとなくアイテムが尽きたのでは? と思えてくる。


 カエルはその様子を楽しんでいるのか、自身の舌をプラプラさせながら、少年が何か行動をするのを待つ……その際、舌から零れた粘液が地面に落ちた途端、禍々しい色の煙を上げていた。


「そろそろ介入かな? ──すみませーん」


「!?」


「手伝いって、必要ですかー?」


 俺の声に反応して、バッとこちらを向いてくる少年。

 本当に危機的な状況だったのか、あるいはこれから行う手段が人に見せられないようなものだったのか。


「ぜひ、お願いします! アイテムが足りなくて、どうやって倒そうかと悩んでいるところでした!」


「アイテムの分配は?」


「貴方優先で分けましょう!」


 よし、これでアイテムはゲットだな。

 言質も取ったので、さっそく動く。




「とりあえず、くらっとけ!」


 まず投擲したのは、爆発ポーション。

 何かに当たり、試験官が割れて気化した途端──炸裂する。


 ボムッと音が鳴り響き、カエルの背中からモクモクと煙が漂い始める。

 威力は抑えてあるので、火傷も自前の再生力ですぐに治るだろう。


 するとカエルは後ろを向き、俺の方へ飛び跳ねて近づいてくる。


「ほらほら、こっちだこっち!」


 ある程度少年との距離を取り、少なくとも伸ばした舌が届かない場所まで移動する。

 泉を外周するように動き、鈍足で可能な限り逃げ回ってから──再び投擲していく。


「そぅいやぁっ!」


 再び試験管を投擲する。

 カエルも学習したのか、それを触れることなく文字通りカエルジャンプで躱す。


「バカめ、宙では自由に動きなど取れま──なんだと!」


 その隙だらけの状態へ投擲を……したのだが、まさかの空中で二段ジャンプという離れ技を繰りだし、カエルは試験管の回避に成功した。


 二段ジャンプが限界なのか、その後は普通に地面に降りてくる。

 ヌメヌメと輝く舌をブラブラと振り、俺の絶望を煽りだす。


 ──しかし、俺は不敵な笑みを浮かべてカエルに告げる。


「甘い、甘すぎるぞカエルよ。お前はその場所に着地した時点で、敗北していたのだ」


 そう、すでに勝負は決まっていた。

 カエルの降りた場所には、一本の試験官が割れた状態で転がっている。


「さらばだ、カエルよ──しばらく眠れ」


 気化した睡眠毒ポーションを吸い、カエルはそのまま深い眠りに着いた。


「……さて、少年の所に戻らないと」


 カエルを仕舞い込み、俺は再び少年の元へ向かった。



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