表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
232/3048

漂流



「……こ、ここは?」


 気がついて、最初に目にしたのは砂。

 とてもサラサラしており、少し握ると柔らかい感触が返ってくる。


 最初に耳にしたのは波の音。

 ザザーンと押しては返すような音が、耳の中でエンドレスに木霊していく。


 最初に感じたのは焦がされるような陽光。

 上から太陽に照りつけられて、体がジリジリと焙られていく。


 最初に味わい嗅いだのは潮。

 鼻を通して磯の香りが伝わり、口を通してしょっぱい塩分が感じ取れた。


「なんだ、海か…………って、どんだけ流されてんだよ!」


 あまりに膨大な時間を流されていたので、つい飽きて結界の中で簡易ログアウトをしてしまった。


 ──簡易ログアウトとは、すぐにゲームを始められるポーズ機能みたいなもんだ。


 それをやっている間にトイレ休憩などを済ませ、万全の準備を整えてからログインしてみれば……この結果だ。


 気が動転して慌てていたが、マップ機能を使えばどこにいるかすぐに分かることに気づいた。


《現在地:冒険世界.S9W6……》


 ──が、時には分からないこともある。

 どうして俺は、十五区画目に居るんだ?


「『SEBAS』、プレイヤーはここまで到達しているのか?」


《南方面は、S6で止まっております》


「……まさか」


《そこが港町で、それ以降は特殊なクエストで船を手に入れなければ進むことができないからでございます》


「やっぱりか……ハァ」


 S6が港町って情報は知らなかったが、普通そうなりゃ止まるか。

 海を渡るためには水中に適性を持っているか、渡るための何かを所持している必要があるからな。


 俺の場合は結界があったので、ドンブラコと流れてきたわけだ。


「この場所にドローンは?」


《来ております。が、まだ全体図のみしか空撮しておらず。詳細はのちほどに》


「構わない。投影してくれ」


《畏まりました》


 投影装置をこの場に出し、『SEBAS』が情報を送ってくれるのを待つ。

 そして数十秒後、投影装置が勝手に動き出してホログラムを出現させる。


「……無人島、か?」


《船を何度か停めた形跡がありました。おそらくは、休憩地点だと思われます》


 大陸とは言いがたく、日本で例えれば……世界遺産がある沖ノ島ぐらいだろうか。

 形も若干似ているので間違いない。


「生き物はいるようだな。死亡レーダーにかなり反応がある。海の方はもっとたくさんいるみたいだが」


《しかし、どうなされますか? ご帰還であれば、死に戻りを行うことで簡単に可能ですが……》


「味気ないしな。ここの探検を終えたら、もう一度ドンブラコしてみる。これも、まあいちおう冒険だろ」


 流されて○○島、なんてのもワクワクするからな。

 とりあえず──冒険してみようか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ