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百個の石



 作った理由はなんとなく、死に戻りによるテレポートをしてみたいと思ったからだ。

 転送装置が有るにも関わらず、一度やると決めたらやってみたくなる性格がそれを促すことになった。


 そして生まれたセーブ石──その数百個。

 作ること自体はまあどうにかなり、今では住民に使い切りの劣化版死に戻り装置を与えられるほどに、技術革新は進んでいる。


 不老不死……はさすがに禁止。

 魔物たちの意思を尊重し、風兎と相談しながら星を回しております。


「まあ、俺には関係ないか」


《そうですね》


 結局のところ、プレイヤーが起こした揉め事が『超越者』にでも及ばない限り、俺に悪影響はない。


 それに、いつしか『超越者』に俺以外のプレイヤーが入ったならなお僥倖。

 星で引き籠ってフリーライフ、家族全員と再会できたらそうしよっかな?




 それでも今は、『超越者』になったプレイヤーは俺だけらしい。

 なので、『超越者』絡みの話をさせられるのは残念なことに俺だけなのだ。


「早く代わりがほしいよ」


「どうした『生者』、そのように落ち込み嘆くとは。何かあったのか?」


「最近、『超越者』に絡まれることが多くてな。今も大変なんだ」


「ほお、それは辛そうだ。私でよければ、いつでも力になるぞ」


「そうか、ならさっそく──」


 すぐさまボタンを取り出して押そうとするのだが、『騎士王』に取り上げられる。


「……何をする、『生者』」


「辛いから、『騎士王』に協力してもらって帰ってもらおうかと」


「協力など一片たりともしていないではないか! 誰だ、今日はいったい誰が来るというのだ!」


「さぁ、俺にもそれは分からないし」


 ランダム仕様である。

 これは予め『騎士王』に買収されないようにするため、といった理由もあってのこと。


 一部甘い人が居るらしいんだよ。


「ほ、ほら『生者』! 私が相談にのってやろう、だからまだこれを押すんじゃない」


「仕方ないな、分かったよ」


「そうか。ならこれは……いらないな」


 握力だけでバキッと俺の用意したボタンを壊す『騎士王』。

 ……こいつ、わざと壊したな。




 とりあえず、最近の出来事を話してみた。

 すると、『騎士王』の答えは──


「そうだな。一度、『超越者』の集まりに参加してみてはどうだ?」


「……いやいや、だから行きたくないと最初から言ってるじゃないか」


「見るだけだ。別に加盟しろ、などとは言っていない」


 なるほど、情報を集めるのには向いている場所だろう。

 なんせ、世界中の強者共が集まる悪魔の巣窟なんだから。


 その返事をすべく、ある物を取りだす。


「……『生者』。どうしてボタンがまだあるのだ」


「それさ、済し崩しに加盟させようとしてるだろう。行っちまえばそこで俺の身は興味が無かった奴の前にも晒され、むしろ被害は悪化する。だってそうだよな、俺って便利屋だもんな」


「そんなことはない」


「その台詞(セリフ)、せめて俺の方を向いて言ってくれてれば良かったんだが……」


 視界が俺から離れている今、ボタンをスッと押しておく。

 あっ、と息を漏らす頃にはもう遅い。


「……ガウェインさん、お疲れ様です」


『騎士王』をこの場から消し去ってくれた恩人に感謝し、今日一日の中で残った時間を平和に過ごしていった。



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