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剣作り



「うぉおおおおっ!!」


 現在俺は、造り上げた鍛冶施設で何度も何度も鉱石を叩き続けている。

 鉱石を柔らかくするために超高温の火を点けているので、本来俺の体は汗だくになるはずであった。


 炉を組み上げて生み出したマグマのような炎は、すべてを消し去る地獄の炎のようにこの場で暴れ狂っている。

 渦巻く力を、:DIY:によって手に入れたより強大な暴力で捻じ伏せる。


 ──俺の周りには透明の球体のようなモノが生成されており、炎が俺に影響を及ばさないようにしていた。


 この世界には魔力がある。

 生産中は無限になる魔力を使い、結界のような物を生成する道具をすでに作成済みだ。

 ……まあ、ただ魔力を膜にするだけなんだがな。


 少し自重を忘れている気もするが、今の俺にはそんな小さなことはどうでも良いんだ!


「翔ぉおおおっ、待ってろぉおおおお……今すぐに作ってやるぞぉおおおおおっ!!」


 すべては、息子に剣を作るためだ!!


  ◆   □   ◆   □   ◆


 打ち上げている間に、そこら辺の事情を説明しておこう。

 情報交換を行い、俺以外がとても冒険らしい冒険を行っていることを知った。


 息子は前回救った女の子と共に、沢山のクエストを行っていき。

 娘は近くのフィールドで弱った魔物と対話し、仲間に加え。

 妻は偶然出会った人が教会の偉い人で、いつの間にか教会で地位を手に入れ始める。


 ……なんか、寂しく生産を行っている自分がとてもちっぽけな存在に思えてきた。


 まあ、瑠璃のハイパーラックを何らかの形で継いだ息子と娘、それにその元祖だ。

 俺みたいなランダム好きとは、歩む道が明確に異なるのだろう。


 って、そんな自己卑下はどうでも良いか。

 問題はその話を聞いた後だ。


 翔はそうした冒険談を話している内、こう零したんだよ……


「今の武器が脆くて、使うとすぐに壊れるんだよ。父さん、良い武器作れな──」


「よし、分かった。今すぐ作って来るから翔は待っててくれ!!」


 これだけ言えば分かるだろ?

 息子の願いを叶えるため、お父さんは頑張るってわけだ。

 片手間でアイテム輸送用の装置は造っておいたし、座標さえ分かれば今すぐにでも翔へ届けることはできる。


 ──あとは、傑作を造り上げるだけだ!


 素材には、もっとも硬い物質とイメージした謎の物質を。

 道具はそれを加工済みでイメージしておいたから、叩くことも可能である。


 問題は意匠だ。

 どれだけ名剣を作ろうと、それを翔が気に入ってくれないなら、もうそれに用はない。

 大切なのは、性能では無くデザインだ。

 性能は気にしなくても、硬くて切れ味が良いのは分かっている!


 一回一回に、自分のイメージを注ぎ込んでいった。

 子供の望むであろう究極──最強で無敵の剣を打ち上げていく。


 それが明確に定まった瞬間、限界を超えた強さで一撃を放つ。

 そしてそれを冷めぬ内に、用意した極寒の冷気で一気に冷却する。

 ……これってたしか、ニブルヘイム的なモノをイメージしたんだっけ?


 ボフッ!


 自分でも熱量が分からなかったが、辺りが水蒸気に包まれてしまう程に、強烈な熱さを秘めていたようだ。

 冷やした途端、爆弾みたいな風が辺りに起きた……凄いな。


「よっしゃあ、完成だ! 名づけて――『フライハット』!!」



その名に特に意味はありません……な、ないんだからねっ!

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