表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/3042

仙王 その06



 ウサ耳少女が仙道街へ向かうための門に案内してくれたが、そこでは再び審査をされることになった。

 先ほど以上に念入りな審査だったので、本当にこの街が仙人の卵を大切にしていることが分かる。


 ……そうだよな、子供ってのは何にも代えがたい至宝だ。

 何物にも代えることはできず、一つとして同じ物はない。


 それを守るためならば、どんなことでもできる──それが子供ってもんだろう。


「ハハッ……、なのに俺はどうして弱いんだろうな」


「ん? どうしたんですか?」


「いえ、ちょっと自嘲しただけです」


 審査を終え、今は仙道街を歩いている。

 薄らと霧が漂うその場所は、華やかな中央街と異なり静けさが感じ取れた。

 街のから覗いたように、建物は質素な物が多く見られる。


 老後に住みたい、穏やかな場所である。

 だが、死亡レーダーは中央街以上に鳴り響いており、猛者がこの場所に潜んでいると示していた。


「気を付けてくださいね、時々、仙術に失敗した人が仙丹を爆発させますから」


「……えっ? それって、本当に大丈夫なんで(ボムッ!)……いえ、大丈夫ではなさそうですね」


「ご安心してください。雲縄を破れるお方であれば、気にならない程度の仙丹ですので」


 ちなみにだが、仙丹が彼女や『闘仙』の力の秘密だと思われる。

 仙人のみ操れる、不思議なエネルギー。

 霧の中に大量に内包された濃密な力を、体内で練り込むことで仙人は生きている。


 霧の力を扱うだけでは、仙人として認められないし仙丹ではない。

 それを自身の中で精製することで、初めて仙丹となるのだ。


 そして、私は雲縄を破れません。

 現に失敗したエネルギーの残滓が飛んで来ましたが、浴びて死にました。


 しかし、説明するには『超越者』に関する情報を開示せねばならないので、そのままにしておこう。

 バレても良いが、積極的に言う必要はないからな。


「ところで、【仙王】様の場所に向かうのは分かったのですが……『闘仙』さんはどちらに居るのでしょうか?」


「えっと、この街から向かえるダンジョンにあるお仕置き部屋ですね。あそこではスキルも仙術も使えませんので」


「…………ダンジョンの、中ですか?」


「ああ、普通の人は驚きますよね。ですが永い時間を掛けて調べ尽くしてありますので、ダンジョンの所々にある安全地帯も見つけています。なので、私たちはダンジョンから街へ転移するための門を置いているのです」


 いや、そこじゃないんだよ。

 ダンジョンの中に居る?

 つまり、始めから普通に行っていれば会えていたのか?


 ……いや待て、落ち着くんだ俺。

 初めてウサ耳少女に会ったとき、お説教中だと言っていた。


 そうだ、そのときはまだ『闘仙』さんはこの街に居たんだよ。

 だから死亡レーダにも『闘仙』さんの反応が無かった、そうに違いない!


「ち、ちなみに……そのお仕置き部屋に入ったのは、いつ頃なんですか?」


 ウサ耳少女は、普通に答えてくれた。

 その言葉に、俺の心が救われたとだけ記しておこう。

 ……ちょっとだけ、はしゃぎすぎたけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ