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仙王 その03



 困ったので、最終奥義を使いました。

 それまでは人の話をまったく聞かなかったウサ耳少女も、一瞬にして身を入れて聴いてくれるようになる魔法のアイテムを見せる。


「っ……! そ、それはっ!」


「せめて、こちらの話を聞いてくれるなら、これを渡さないこともないんだ──」


 ふりふりをチラつかせるソレに、彼女の瞳は激しく揺れ動く。

 なんだか涎が垂れている気がするし……どうやら、もう耐えられないようだ。


「聞きます! 何でも聞きますよ! むしろ世間話なんて一緒にどうですか!? そのときお供に、それを出していただければ……」


「いや、そこまでは求めてないんだが……」


「どうか! どうかお願いします! 貴方様がお持ちになっておられる──その人参様を食べる機会をお与えください!」


 ……このゲームのウサギは、守護獣だろうと獣人だろうと人参に弱いのだろうか。

 仕事が云々と言っていたウサ耳少女も、最高級人参の前に職務放棄を決め込んだ。


「俺の要求は簡単だ、『闘仙』さんと連絡を取りたい。方法は何でも良い、街に入れなくとも構わないから上に伝えてくれ」


「分かりました! それで、人参様はいつほど……」


「そ、そうだな……。連絡を終えて、戻ってきたら渡そうか」


「はい、では今すぐに!」


 ドピューンという効果音が出そうなほど、素早い速度で街に帰還したウサ耳少女。

 あまりの速さに土煙が俺にブワッと襲いかかり、再び死んだのはご愛嬌だろうか。




 それから、この場所で待機する。

 大気中から魔力を取り込んで使用していた魔道具や装置、それらを使えるようにする必要があった。


 先ほどウサ耳少女が使った『雲縄』。

 これを解析してもらっているので、いずれエネルギーに正体については分かるだろう。

 それと魔力とをしっかりと区別できるようにすれば、再び使えるようになる。


 にしても、雲か。

 俺が最初の頃に生み出した手袋は、確か雲も掴めるって設定だったんだよな。

 アレって、どうやってるんだろうか。


 そのことについて、『SEBAS』に尋ねてみると──。


《……なるほど、さすが旦那様です》


「ん? もしかして、何か関係あったか?」


 どうやら心当たりがあるようだ。


《はい。旦那様の『万能手袋』は、説明文(テキスト)に概念に触れられるとも記されております》


「そうだったっけ?」


《幅が広すぎる故、これまではあまり着目していませんでしたが、こちらから『雲縄』で確認できたデータと合致する情報を取り出すことができれば、エネルギーの詳細も判明するでしょう》


「だが、調べられるのか?」


 あれって、神器って書かれてたけど。


《すべては今の私では無理です。ですが、一部だけならばどうにかなります。その一部ですら、私が識る技術の大半に関わっておりますのでご安心を》


「……そうか、なら任せる」


 細かいことは『SEBAS』に任せて、俺はゆっくりと山の景色でも拝みますか。

 ホイホ°イカプセルを使って怒られるのも嫌だったので、普通に椅子と机を出して自由な時間を過ごしていった。



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