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仙王 その01



「ひえー、でも遠い!」


 中華風、とでも言えば良いのだろうか。

 双眼鏡の形をした、遠視の魔道具を使ってその街の様子を見ていた。

 中華街にでも来たように思えるほど、色鮮やかな塗色がされた建物が建ち並ぶ。


「まあ、それも本当に一部だけだが」


 街の中央から一番大きな宮殿にかけて、そういった様式だが……そこから外れた場所にある建物はすべて、質素な建物だった。

 色も大人しめの色が多いし──自然と同化した小さな小屋、みたいな感じのが基本だ。


「小さな街で、良くぞここまで纏められましたって感じだな。『闘仙』ならやっぱり一番大きな宮殿か、どこかの小屋辺りか? どちらにせよ、行ってみないと分からないけど」


 この二パターンしかないだろう。

 それは、創作物が証明しているうえ、これまでやってきたEHOというゲームそのものが教えてくれる。


「……にしても、霧が濃くなってきてるな」


 街には霧がかかっていき、双眼鏡は視界を確保できなくなっていった。

 一度双眼鏡を片付け、光学迷彩装置を起動すると街に向かう。




 街に着きたかった(・・・・)

 ……はい、願望系です。


「逃げるな、この侵入者めっ!」


「待って、ちょっと待ってください!」


「ええい、(うるさ)い! 貴方も九龍帝国のスパイなのでしょう!」


「いや、知りませんからそのような国!」


 歩いている途中、霧の中を通ろうとしたら装置が誤作動を起こして故障した。

 どうやら高濃度の魔力とは違うエネルギーらしく、誤ってそれを吸い込んだ装置が還元できずにエラーを起こしてしまったそうだ。


 なのでいったん『SEBAS』に任せ、エネルギー問題が解決するまでは装置なしでの活動となってしまう。


 誰とも会わずにこっそりと移動したいな、などという甘ったれた願い事はあっさりと叶わぬことを知り、現在街から来たと思われる警備兵からの逃走を図っていた。


 警備兵、といっても本人が警備が云々言っていたからそう例えただけで、実際はどうだか分からない。

 背中にまで届く白い長髪、ゆったりとした薄い半透明の布を羽織る──ウサ耳の少女。


 そう、俺を追いかけて来るのは、いわゆる兎っ娘というヤツであった。


「……って、現実逃避をしている暇は無かったんだ。どうにかして、宥めないと」


「やっと逃げるのを諦めましたか。【仙王】様の結界に反応があったというので来てみましたが……まさか、本当に結界を破れるようなスパイを送り込んでくるとは」


「いや待てくださいって、私は『闘仙』さんに呼ばれて来たんですって」


「嘘を吐いても無駄ですよ! あの方は今、【仙王】様に拘束されてお説教中の真っ最中です! そんな状態で、いったいどうして他者をこの街に招けるというのですか!」


 ……おーい、遊びに来たよー。

 お迎えはまだ? 『闘仙』さーん。



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