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通天の晶洞 後篇



 数十分後。

 未だに掘り続けているが、まだまだゴールは見えてこない。

 どれだけダンジョンの中央辺りに位置した小部屋だったんだろうか。

 全身を動かしてピッケルを振る続けても、光は一筋も差し込まない。



 まあ、鉱石は出てこなかったが、良質な岩石を大量に入手できた。

 先ほども言ったが、ダンジョンの壁は大量の魔力を吸い込んだ結果それが馴染み、とても強度な代物となっている。

 それはつまり、その岩石を素材に作ったアイテムが、高濃度の魔力を帯びた状態で完成するということだ。


 現実でも、使い慣れた物とは一体感があるだの体に馴染むといったことが起きる。

 EHOの場合、本当にそれがある。

 アイテムに自分の魔力が浸透すると、持ち主が無意識の内で望む形へと変貌するのだ。

 そんな経験をしたショウによると、巨人を討伐する際にそうして剣へ魔力が馴染み、自分が望んだ形や能力を得たという。

 ……巨人って、父さん5区画は離れた場所じゃないと会えないって聞いていたんだが。


 話を戻そう。

 俺が:DIY:を発動して用意する素材にも、魔力は高濃度に注入されている。

 だがしかし、その魔力は何もない空っぽな魔力(?)というものらしい。


 本来魔力とは、環境や生き物によってそれぞれ固有の波長を持つとの情報があった。

 なので、素材が秘めた波長と持ち主の魔力の波長が合えば、早く浸透し進化する。

 だが俺のアイテムはその波長が無いため、確実に進化するが少し時間がかかる。

 ショウ以外の二人にそうした現象が起きていないう話を聞いたことが、それを物語っていた。


「――とまあ、どうでもいい話でお茶を濁していたが、それもどうにかなるんだよな?」


《旦那様のアイテムであれば、波長を後から変更することができます。無を有にするだけですので。ただ、既存のアイテムの波長を変えることは、あまりお勧めできません》


「遺伝子改変と似たようなものか?」


《はい、弊害があると思われます》


 その環境だから、その人物だからこそそうなった。

 そんな修飾語がある物には、手を出さない方がいいらしい。


 例えば、極寒の地で周辺の魔力を吸い上げて育った木で作った杖。

 それを灼熱の大地で育った木のように、波長を改変したらどうなるか。

 何も起きないかもしれないし、逆両方の性質を獲得したミラクルアイテムに変化するかもしれない。

 だが逆に、その変化を拒絶して持ち主に危害を与えるかもしれないのだ。


「うん、気を付けないといけないなっと!」


 話しながらもピッケルを振り下ろす。


「――うわっ、眩しいっ!」


 かいしんの いちげき! になったのか、目の前の壁がキューブになると同時に光が俺の眼を焼いてくる。

 そんなに長時間いなかったので失明することはなかったが、ちょっと遠くの景色を見れなくなった。


 そして、視界が良好になったとき、そこには――。



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