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裂帛



 とは言っても、俺ができることなど本当に些細なことばかりだ。


「っ……!」


「大丈夫ですか、今ポーションをかけます」


「た、タビビトか。助かった」


「いえ、気にしないでください」


 あるときは、自分自身でポーションを使えなくなった者にポーションをかけるお仕事。


「そいやっ!」


『……妙にチクチクとするな、休人の作る武器は。お前さんの手作りか?』


「まあ、そうですね」


 あるときは、意識を逸らすために投擲用の武器を投げるお仕事(自動帰還機能付き)。


『しかし、お前さんは普通の休人と異なる存在だな……『超越者』。いや、それはまだ時期尚早か』


「トライ&エラー、何度だって諦めたりしませんからね」


『やれやれ、お蔭で注意を逸らされてしまっているな』


「ええ、皆さんには勝ってほしいので」


 ヘノプスも色々な嫌がらせ機能が付いている武器は好まないらしく、念入りに俺が攻撃すると対処してくれている。


 初めのうちは俺を殺して動きを封じようとしていたのだが、死に戻りをその場でする様子を見て、魔力による結界を展開するようになった。


 代表率いる古代人の精鋭部隊は、命を燃やして結界をも破る力を有している。

 なので結界が弾くのは俺という弱者が放つ武器のみであり、古代人たちはしっかりと戦いができていた。


 ──そう、これまでは。




 状況が一変したのは、何が原因だったのだろうか。

 ヘノプスのHPを数割減らしたから?

 強烈な一撃が命中したからか?

 俺が……死にすぎたからか?


 原因が何だったのか、このときの俺に知る由はな──


『休人の仕業で、今までの試練よりも時間がかかるな。……仕方ない、予定より早いが少し本気を出そうか』


 ……えっと、俺のせいみたいだ。

 湯水のようにポーションを使い潰していたお蔭で、完全な負傷者は誰も居ない。

 たとえ負傷しようとも、ポーションを飲むか振りかけるかして治しているからだ。


 ヘノプスはそうした負傷者云々や自身の受けたダメージ、経過時間で本気的なものを出そうとしていたが、思う通りにいかず、ああしたセリフを言ったのだろう。


「代表さん! これまでに守護獣の本気とやらを経験した奴は?」


「分かっている! 総員、奴の口と同方向に立つな!」


 代表の言葉に、皆が動こうとするが──


『もう遅いわ! ──ガァアアアアアァ!』


 激しい裂帛と共に、衝撃波が飛んでくる。


 音の砲弾とも言えるようなその一撃は、射線上にいる古代人たちを狙う。

 死亡レーダーはその攻撃をかなり危険なものとしており、渡したポーションでは治療不可能な状態になりそうだ。


「み、皆さん!」


 俺はそれを、射線外(・・・)から見ていた。



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