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代表



「間違いなく、長老だと思っていたのに……とんだ詐欺じゃないか(ブツブツ)」


「何か言ったか? 客人よ」


「ああいえ、特に何でも」


 ナイス、イケメン!

 要は目の前にいるのが代表で、俺はイメージとのギャップにショックを受けている。


 魔物の毛皮を身に纏った、ワイルド系なイケメンだ。

 骨で作られた椅子に座り、後ろには鋭い槍が置かれている。


 俺と代表は二人っきりで、石造りの一室で話を行っていた。

 いや、特に『アッー!』は無いからな。


「……話は分かった。タビビトはこの場所とは違う所から来たようだな。四方の壁、君はその先について知っているのか」


「はい、知っています」


「そうか。先に言っておこう──そのことに関して、あまり里の者に言わないでもらおうか。真実は、時に知らない方が幸福なのだからな」


 椅子の上で足を組み、その上で手を組むというカッコイイポーズを決めてそう言ってくる代表。

 箱庭について、何も知らないというわけではないみたいだな。


「貴方は、いったいどこまで?」


「この世界が小さな箱で、外には広大な世界が広がっている……代表を継いだ者に、代々伝えられている伝承だ」


「なるほど、だいたいその通りです」


 運営が、そういう風に設定したのか?

 箱庭としての存在を知らなければ、いつか外に出ようとする者が現れるしな。


「箱庭から出ることはできるので?」


「可能だ。だが、あの湖に向かうと必ず守護獣がそれを阻む。これまでも何代もの代表が率いた集団が脱出を狙って挑んだのだが……結果はもう、分かっているのだろう?」


「全敗、ですか」


「濁さなくともいい──全滅だ」


 守護獣……つまり、風兎のような存在がこの場所にも居るのか。

 俺が湖の調査に赴いた際、死亡レーダーに反応が無かったのは、俺がもともと外から来た奴だからなのだろう。


 つまり、この箱庭で暮らすものが湖を通じて外に出ようとすれば、必ずそれを拒む最強の敵がそびえ立つ……王道だな。


「──しかし、我らもそれに挑まなければならない。これから来る『灰振り』は、間引きのような効果をもたらすのだからな」


「火山、ですか。この砦はそれを避けれるだけの代物ではないので?」


 単語の意味はよく分からなかったが、俺が住んでいる場所にある火山はそろそろ噴火するのだ。

 そして、そこに代表の言葉の意味を重ねて考えれば……うん、ヤバいな。


「生き残るためには、戦うしかない。お前が出会ったのは、我らの精鋭だ。アイツらと俺で突貫だ……これで、砦に残る者たちが死ぬことはない」


 代表の命を賭ける宣言……もう少し事情を訊かないと、俺には何が言いたいのか分からないな。



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