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古代世界



「見ろ……光だ! 出口が見えたぞ!」


 時計機能を使うと、なんだか独りでいる自分が虚しくなりそうなので使っていない。

 あれから体感的にはかなりの時間が過ぎ、ついに俺は光源を視認することができた。


 暗かった穴も明るく見え、心なしか水温が温かくなった気もする。


「本当は空気がって言おうとしたけど……空気無いしな」


 慌てずに、ゆっくりと出口である広い水場に出ようとする。

 ……うん、死亡レーダーは周辺に俺を害する存在はいないと告げている。


 出た瞬間死亡(キル)、なんてことはなさそうだ。


「出てったらまず、ドローンを飛ばすか? いや、先住民の方がそれに不快感を示したら危ないか。しっかり交渉しないと」


 恐らくまだ誰も来たことのない秘境の地。

 これぞ冒険、これぞロマン、これぞ憧れていたゲームの世界だ。

 ……言っていることには、ファンタジー感がないけどな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 ???


「えっと、ここはどこだ?」


 水面に浮上した俺を迎えたのは、視界いっぱいに広がる大自然であった。

 広大な土地に多種多様な生物が住み、この場所でのんびりと過ごしている。


 遠くで動くブラキオサウルスのような巨大な生物も、自身の体に見合った木々の葉をモシャモシャと食べていた。


「恐竜時代……というか、白亜紀か? あんまり知らないけど、恐竜がいるし」


 一人ブツブツと唱え、周辺を調べる。

 ドローンを宙に放つと、『SEBAS』へその情報を還元していく(恐竜時代ならばドローンを使っても構わないだろう)。


「人っ子一人いないってのも、地球と似ているのか? でも、魔力が有る世界だし、もしかしたら(ザクッ)……ん?」


 報告を待っていると、突然胸にぽっかりと穴が開いた。

 調査のために結界を解除していたのだが、まさか殺されるとは……。


 即座に死に戻りを行うと、カランカランと俺を殺した物が落ちる。


「これは……鋭い葉っぱか。敵意や殺意が無かったってことは、人為的に起こされたことじゃなくて、自然現象の一部ってことになるのか? ……えっ、殺してくるの?」


 それは槍のような形をした、鋭い葉っぱであった。

 手に持ってみると、木槍のような硬さを感じられる。


「魔力が有る世界で成長すると、そんな不思議なことになるのか。某迷宮モノの天然の武器庫みたいな感じなのかな? いや、魔物が使用しているわけじゃないけどさ」


 元が葉っぱだからか、俺が装備しようとしても問題ない軽さであった。

 しばらく振り回したが死ぬこともなく、少し得した気分でもある。


 ……穂先に俺の血が無ければ、もっと純粋に喜べたんだけどな。



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