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帰還



「称号として手に入れた『生冥の迷い人』、それの効果によってその権限となったんだ」


「ふむふむ……誰かから貰った、なんてことはないのよね?」


「ああ。少なくとも俺に、その心当たりはないつもりだ」


 嘘を吐いてもバレそうだったので、ありのままに知っていることを伝える。

 本当に称号がその効果を持っていたし、そもそもここの権限だったとは知らなかった。


 ……ただ、死に戻りをし続けるだけで手に入るような物、ということでもないだろう。

 これを手に入れた時、関係していたイベントとなると──それしか思い当たらないや。


「そう、ならいいわ。本来この権限は第二、第三しか手に入らないの。だから貴男の権限が第一だったと知って、裏に繋がる者を調べなければいけなかったのよ」


「……そういう裏の話はやめてくれ。俺は本当に、称号で手に入れただけなんだ」


「分かっているわ。嘘でないことはすでに確認済み。『生冥の迷い人』なんて称号の存在は知らなかったけれど、神々が貴男にそれを与えたのならば、それもまた一種の運命なのかもしれないわね」


「そう、なのか」


 確認済み、ね……。

 周りに居る者の中に嘘かどうかが分かる者がいるのか、はたまた『冥王』自身がそれをできるのかは知らないが、やっぱり女王ともなると、そういうのは気を遣うのか。


「あっ、そういえば権限のことなんだが、その数字でどういう差があるんだ?」


「入れる場所の違いよ。第三だったら国の門まで、第二だったらここの門まで、第一だったらもっと深い所まで。第一は本来、王にしか与えられない権限。だから貴男には、何か頼み事をするかもしれないわ」


「……こっちも頼み事をしたくなったら、そのときは聴いてくれ」


「当然よ」


 死亡レーダーには、宮殿の地下と城よりも先にある場所から強大な死の予感が感じ取れると報告されている。

 つまり、それのどちらか──またはその両方──が第一権限に関わっているのだろう。


 国なのだから貿易を開こうとでも思っていたが……正直、恩を売るのは難しそうだな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 それから少しして、俺はこの国を出た。

 しっかりと許可を取ってドローンを飛ばしたり、裏でこっそり転位陣の座標を登録したりしたが、一度地上に戻ってこの国の情報を調べたかったのだ。


「では、お気を付けて」


「はい、ありがとうございます」


 帰るまでの付き添い(兼監視)をしていた騎士たちに礼を告げ、しばらく行きに通った長い道を歩く。

 途中で騎士たちを死亡レーダーが危険視しなくなった所で……軽く地面を蹴る。


《HPが0となりました(蘇生猶予時間まで残り60秒)

 即座に死に戻りを選択しますか?

[種族・職業・スキルレベルの合計が100に至るまでは、何も失いません]

     〔YES〕/〔NO〕》


 いつものように〔YES〕を念じて、俺は死に戻りを行った。



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