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絶縁結界



「ついに被害が出てしまったか……準備もできたし、そろそろ行くか」


《宜しいので?》


「知り合いに被害者が出たんだから、さすがに責任を感じるんだよ。……というより、それに関する愚痴を聞かされるのに()きた」


 被害者の名前はタクマ。

 クエストだかの関係で草原に向かったところ……被害に遭ったそうだ。


『いや、パーティーで向かったから全員纏めて落とされたんだけどさ、下に行くにつれてだんだん体……っていうか心が寒くなったんだ。周りで人が死んだときの、こう……ゾッとする感じだ。それがピークまで達したら死に戻りしてたんだ。他の奴らも同じような体験をしたらしいぞ』


 タクマの言ったことが正しいのならば、穴は死に関する物なんだろう。


 神話だと……『根の国』とか『黄泉』とかが一番合うのか? あんまり地中に死の世界がある場所って無いんだよ。

 冥界や地獄ってのもあるな、だが穴を通じてるってイメージがあんまりな~。


「行けば分かるし嫌なら帰る。俺は冥界に愛する者を救いに行く英雄じゃないんだ。日帰り旅行程度で済ませたいな」


《今回は始めから結界を展開してください》


「あいよ~」


 腰に下げた剣をポンッと叩いて応える。

 新技術を試してみた結果、かなりの省エネ仕様になっていた。

 ただ、絶対にあらゆる攻撃を弾けなくなったので注意は必要だ。


 そんな魔道具を起動すると、周囲に俺にしか見えない結界が展開される。

 今は体に張り付くバリアスーツとも言えるような状態なのだが、俺の意思でさまざまな形に領域を広げることができるぞ。


 よし、じゃあ行きますか!


  ◆   □   ◆   □   ◆


 ……穴が来ない。


「おかしいな。(ビリリッ)予想通りなら狙いは俺のはずだった(バチッ)んだが……ただの自意識過剰だった? (ゴロゴロドーン)いや、死亡レーダーに反応が無いからいないという可能性も……」


 合間合間に電気に関する装置を試して待機していたのだが、俺の足が宙を切るという展開が来ない。


 電気を使っても感電死しなくなった。

 結界で身を包んでいるのもあるが、しっかりとして絶縁対策をしたのもあるな。

 これによって、スタンガンによるイジメにも見える気絶のやり方にも変化が生じる。


 ──電気を結界の外側に流せば、突っ込んで来た魔物が勝手に気絶してくれるのだ。


 いわゆる……私が手を下さずとも、すでに結果は見えているというヤツだな。


「って、それより穴は……おお、可哀想に」


 遠くの方で悲鳴が上がった。

 そちらを確認して見れば誰もおらず、何故か死亡レーダーが地面より下に落ちているナニカを発見する。


「……俺が対象じゃない、勘違いだったか。なら別にいいか」


 回れ右、といった感じでUターンをして、俺は町へと戻った。

 今日は何を食べよっかな?



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