貢献イベント その28
「……まあ、ステータスを偽装する魔道具は作ってあるから別に良いんだけどさ。俺が俺だとバレることは無いだろうし、そもそもこれだけの情報じゃ、俺がアレを売っている奴だと分からない」
放送では、特殊イベントの内容とそれをクリアした者の名が発表された(晒しだな)。
他にも呼ばれている奴は何人かいたが(ほぼ身内)、俺の呼ばれた回数は、その中でも一番多かったんだよ。
しかも、わざわざエルフが云々などと、種族名まで挙げての公表だったため、他種族スキーからリンチにされてしまうぞ。
さて、そんなピンチ状態な俺なんだが……イベント中に作ったアイテムの中に、ステータスを偽装して身を偽る魔道具がある。
任意の数字を自身で書き込み、自分の情報が露見することを防ぎ、なおかつ認識阻害の機能によって身バレすらガードする一品だ。
これがあれば、多分多勢に無勢でボコられることだけは避けることができるだろう。
さて、続きだ続き。
「──にしても、まさか一位だとはな。全員がバランスよくポイントを稼いでる中、あれだけピーキーなチャレンジをしていれば……普通、そうなるのか」
今回、世界ごとにチームを分けて順位を争うこのイベントに……俺は『アイプスル』のチームメンバーとして参加したのだ。
世界、どうしてこんな分け方をされているかは分からなかったが、タクマからとある情報を聞いていたので、こうして参加法を取っていた。
『はっ、賞品? そのチームで貰ったヤツは山分けだよ。幾らチームがポイントを稼ごうとも、自分が何もしてなかったら寄生になるだろ。細かいところは世界ごとに違うらしいが、少なくとも賞品全部が貰える世界ってのは一つも無いからな』
こんなことを言われたら、アイプスル一択にしかならないだろう。
どの世界に誰が登録したか、それは放送内で発表されることは無かった。
アイプスルという名前も、俺が付けたものではあるが変更が可能で、イベント参加中は適当な名前にしておいたから世界自体もバレることはない。
「いろいろと賞品が手に入るようだが……そういえば、どんなのが賞品に入ってるんだろうか。今度タクマか『SEBAS』に訊いてみるか」
掲示板も公式サイトも見てないので、どのような物が賞品なのかが分からない。
伝説の素材? :DIY:で生みだせる。
個人フィールド? もう世界がある。
最強の武器? たぶん装備できない。
特別なスキル? もう:DIY:がある。
俺の欲しい物、か……あれ? たいていの物は作れるじゃないか!