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貢献イベント その27



 アイプスル


 イベントを終えて数日が過ぎた。

 運営側が貢献ポイントとやらを必死に計算し、今は集計を待つ日々だ。


「……俺、貢献してたかね?」


《はい、していましたよ》


「いやさあ、よくよく考えるとやりたいようにやっていただけで、その地の人のためになることをやっていたかどうかが分からないんだよ。最後のレイド戦なんて、単独行動っていうか文字通り孤軍奮闘だったろ? それって、もうネトゲだったら晒し間違いなしの迷惑行為じゃないか」


 そもそもとしてだが、俺の行動って一つとしてロクなことじゃないと思う。

 最初のイピリアとの邂逅だって、封印を解放してのものだったし……エルフの隠れ里での日々だって、行き方がアウトだからな。


 何より、他のプレイヤーとまったく協力せずに動くのって不味くないか?

 掲示板に情報を上げることも無かったし、知らぬ間に俺を殺させてしまって貢献ポイントを減点させているかもしれない……実に不味いな。


《旦那様は難しく考え過ぎですよ。自由奔放に動き、最高の結果を齎す……それが旦那様です》


「……それってさ、もうさっき俺が言ってたことを丁寧にしただけだろ」


 日本語って凄いよな。

 貶す『馬鹿』という言葉でさえ、『常人より、幾分か頭の作りが特殊』と言い換えることができるんだからさ。




《──旦那様、集計が終わったそうです。直ぐに各世界にて放送で発表するのですが……聞きにいかれますか?》


 生産をして時間を潰していると、『SEBAS』からそう報告を受ける。


「あっ、ここはやっぱり駄目か」


《旦那様以外のプレイヤーは誰も居ない所ですし、流れることは無いかと》


「そっか、なら少し行ってくるよ。せっかく初めて参加したイベントなんだし、発表も最初に聞いておきたいしな」


《では、行ってらっしゃいませ》


「ああ、行ってくる」


 そうして俺は、アドベンチャーワールドへと転位装置で移動した。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 そして、放送を聞き終えた。


「……Oh、jesus!」


 それが、俺の感想だ。

 いろいろとやって来たことはしっかりとログに記載されていたようで、運営の目にも届いていた。


 ──そう、バレバレだったのだ。


 特別なイベントをクリアすると、それが発表されるのを知らなかった。

 たとえばイピリア、『超越者』と戦うための封印が施されていたその存在は、イベント中に封印が解けてプレイヤーと戦うはずだったらしい。


 それもまた、特別なイベントだったんだ。

 すると、それをクリアした者を発表し……誰だコイツ、という反応が周りから聞こえてくるんだよ。


 俺、有名プレイヤーになれました(涙)。



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