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貢献イベント その06



 キュィイイイイイイイイイン!!


 レバーを引いた装置は、そんな音を辺り一帯に鳴り響かせていく。

 音と共にある物が一ヶ所に移動し始め、最後には筒を通じて装置の中へと移動する。


 ……うん、音は吸引音で装置とは掃除機のことなんだけどな。


『貴様、いったい何を!?』


「貴方は言いました、瘴気が血に飢えていると……血が出ないことは今までの戦闘で理解していただけたでしょうし、どうか私のこの選択を怒らないでください」


『怒るな……だと? 瘴気と我は一体化しているのだぞ! それを抜いたら……我は死んでしまう!』


 怯えているのだろうか。

 若干体が震えたように見える。


「あっ、そこら辺は大丈夫ですよ。この一方的な蹂躙を受けている間に、貴方のことはすべて暴いてあります。瘴気は一方的に貴方を乗っ取っているだけでして、正しい方法か強引な方法を取れば安全に外せます」


『なっ!』


 そんなに驚くことだろうか?

 あれだけ時間があれば、普通解析をする時間があるだろうし、対策を練ることもできるに決まってるじゃないか。


 だからこそ、俺は死んで死んで死にまくって……それを見つけだした。


「瘴気とは、貴方への怨念が核となってできたものです。何があったかは知りませんが、その核を中心に異なる想いを元にできた怨念もいっしょに混ぜていきます。……そして、再生後にはそれらの怨念が求めた意思を纏め上げた怨念が一つ、出来上がるのです」


 例えるとそうだなー……最初は歪んでいた主人公が、ヒロインたちとの邂逅で日々成長していった、みたいなことか?

 正と負である意味ベクトルが逆な気もするが、たぶんそんな感じだろう。


 こうして会話をしている間にも、怨念の塊である瘴気は掃除機へと吸い込まれていく。

 ホースの先には、ゴミを消し去るための浄化装置が付いている。


 ……どうやら、瘴気にも効果があったらしく、予想していた装置内での瘴気の暴走は確認されていない。

 ただ隔離するために、それをしようと思っていたんだけどなー。


「瘴気はそろそろ尽きますし、貴方の予想ではそろそろ死ぬのではありませんか? なのに、貴方は装置を破壊しようともしない……本当は、分かっているのでは?」


『……ああ、実際瘴気が減少しようと、我の体には何の変化もない。さらに言えば、今まで渦巻いていた黒い感情が、晴れていく感覚もあるのだ』


「えっと、鏡見てみます?」


 黒いイピリアに真実を見せるため、前に作成した巨大な鏡をこの場に置く。


「貴方は先ほどまで黒い鱗をしていました。ですが、今の貴方は──」


 そう、黒いイピリアなどもう居ない。

 ここに居るのは、虹色の輝きを放つ鱗を持つヤモリだけなのであった。



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