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すずめが人間になりました  作者: うつき
3/4

三羽目 ご飯

 村に着くと、すぐに宿に向かった。


「……あら!こんな早い時間にお客さんが来るの初めてよ!

悪いけど、少し待っててくれる?」

「は、はいっ」


 向こうの方で微かにだけど、人の声が聞こえる。

 人が多いんだなって事が何となく分かってしまって緊張する。


「ん?どうした?」

「…あ、えっっと……何でもないです」


 無意識に助けてくれた人の服を掴んでしまっていたらしい…


「そういえば名乗ってなかった…俺、イナって言うから。よろしく」

「え、あっはい!よ、よろしくお願いします!」

「…えーと、君は?」


 わ、分からない……とは言えない…かな?

 言っても良いのかな?あれ?でも、私スズって言われてたような気がする…


「す、スズ…です。」

「スズ?は、どうして、あそこにいたの?」

「……わから」

「はーい、お待たせしてごめんねー!お二人?」

「いや、この人を休ませてあげたくて…」

「んーなるほど…じゃあ、部屋結構余ってるから、部屋代半分の料金で休むのはどうかしら?」

「ありがとうございます。それでお願いします。」

「朝食はどうする?今日は一食、銀貨五六枚だけど」

「部屋で食べれるのなら、ニ食お願いします。」

「部屋で食べるのは全然良いわよ、持って行くから、この部屋で待っててちょうだい」


 スラスラと決まっていくから、ついてけなかった…

 あっお金持ってない!ど、どうしよう


「イナさん!私、お金持ってないです!」

「あー大丈夫。払うから」


 ほっ…良かった……じゃない!


「わ、悪いです!大丈夫ですから、元気ですから!」


 ?!

 イナさんの顔がぴくっと動いた…!

 お、怒らせてしまったのかもしれない……


 歩き始めちゃったし…と、とりあえず付いていく?

でもそれだと……


 イナと、スズは手前から三番目の部屋に入る。


「い、イナさん!私、返しますから!いつか絶対!」

「…いや、大丈」

「返しますから!」

「……分かった。それは、置いといて、どうしてスズはあの森にいたの?」


 イナは、床にカバンを起きながら聞く。

 スズは扉の前に突っ立ったままだ。


「それが、私もよく分からなくて…というか、記憶がないといいますか…」

「記憶がないの?」

「はい…夢は覚えているんですけど」

「夢?」

「えーと、笑わないで下さいね?

すずめの夢なんですよ。すずめとして生活する夢で」

「へー面白いね」

「いやいや、変な夢ですよね。

 あっ助けてくれて、ありがとうございました」


 イナは頷くと、カバンの中の整理を始め出した。

 スズは、その横を恐る恐る通り、窓際にある椅子に座る。


 今思えば、蛇が近くに来たとき腕を広げて飛ぼうとしたのは、夢のせいだったのかも…


 スズが森の出来事を振り返っていると、窓に近い木に雀が一羽とまった。


 すずめだ。なんか親近感沸くなー


 二羽、三羽と増えていく雀を見ているとドアの叩く音が聞こえてきた。


「失礼します」


 さっきの女の人ではなく、若干、若めの男の人がご飯を運んできた。


「こちらに置いて置きます。お代は金貨一枚と銀貨十二枚です」


 イナが男に払うと、男は深い礼をして出て行った。


「うわぁーおいしそうですね」


 コーンスープは粒が大きく、手前にあるパンはフワッとした卵を挟んであり、一番大きな皿には、サラダの上に厚切りのベーコンが乗っかっていた。


「冷めないうちに食べよう」

「そうですね……いただきます」

「いただきます」


 イナが、スープを掬いながらスズに聞いた。


「スズはこれからどうするの」

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