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07:お前はマロだ

 結果から言うと神の猫じゃらしはめちゃくちゃ効いた。


 猫じゃらしを見た途端、犬っころは猫じゃらしに駆け寄ってペシペシした勢いで猫じゃらしが粉微塵になった。

 そしてそのまま駆け寄ってきた犬っころに俺は押し倒されて今に至る。


「ちょ、まって!? ひゃん!」


 そして俺はペロペロされまくっている。

 あっちをペロペロこっちをペロペロ。

 うん、何この状況。


「やめ、くすぐったい! うひょ!」


 猫じゃらしの効果で友好的になってくれたのかも知れないが、こちらの言う事は全然聞かない。

 ペロペロペロペロもてあそばれている。

 そしてその舌がほどよくザラザラしていてくすぐったいんだ。

 この野生的な舌め!

 俺は快楽になんて負けないんだから!


 そしてピロリン。


< 野生のコボルトが仲間になりたそうにこちらを見ています>

< 仲間にしますか? >


 ん? 

 なんだこの見覚えのあるメッセージは。


 仲間?


「ちょ、まって! 待てって、ペロペロやめて!」


 あっ、そこ、らめぇ! ペロペロしちゃらめぇ……!

 何も考えられなくなっちゃうよぅ!


< 許可を確認しました >


 許可したというかさせられたというか、とにかく犬が仲間になった。


< コボルトが仲間になりました >

< モンスター知識:コボルトを取得しました >

< モンスター知識;カテゴリーFを取得ました >

< 職業:魔物使いを取得しました >

< 魔物使いスキル:捕獲を取得しました >

< 魔物使いスキル:獣癒しを取得しました >

< 魔物使いスキル:攻撃指令を取得しました >

< 魔物使いスキル:防御指令を取得しました >

< 魔物使いスキル:撤退指令を取得しました >


 そして畳みかけるようなピロリンである。

 コボルトを仲間にした事でいろんな条件を達成したようだ。


「よしストップ! 待って! 待った! おすわり!」


 犬っころ改めコボルトが素直に命令を聞いて座り込む。

 そもそも「おすわり」が通じるのも意味不明だが、スキルの効果なのだろう。


< 魔物使いスキル:待機指令を取得しました >


 あ、はい。

 おすわりは待機指令なのね。


 というか、職業?

 ステータスを確認すると新たに情報が追加されていた。

 どうやらこの瞬間まで俺は無職だったらしい。


 名前:イセヤ ナルコ

 レベル:1

 職業:魔物使い

 生命力:12 持久力:5 集中力:3

 筋力 :5 技力 :5 理解力:3

 信仰 :0 呪怨 :0 血統 :0

 幸運 :#$%&


 相変わらずレベルは上がっていないが、能力値は若干上昇していた。

 タイミングから考えて、職業を取得したおかげだろうか。

 職業ボーナス的なものがあるのだろう。


 ついでに木の上の犬っころにも猫じゃらしを見せびらかしてみる。


 犬っころは「ワン!」と元気よく飛び降りてきた。

 猫じゃらしの魅力が高所の恐怖に勝ったらしい。

 さすがは神の猫じゃらしだ。


 そしてやっぱり猫じゃらしは瞬殺されて俺はペロペロされた。

 猫じゃらしは何個でも取り出せるから良いんだけどさ。


< 野生のコボルトが仲間になりたそうにこちらを見ています>

< 仲間にしますか? >


 そして仲間が二匹になった。


 コボルトの知識を得たおかげなのか、それとも仲間になったからか。

 俺はコボルト達のステータスを見る事が出来るようになっていた。


 名前:Null

 レベル:3

 種族:コボルト

 生命力:21 持久力:11 集中力:2

 筋力 :18 技力 :10 理解力:7

 信仰 :0 呪怨 :0 血統 :4

 幸運 :12


 名前:Null

 レベル:3

 種族:コボルト

 生命力:20 持久力:10 集中力:3

 筋力 :15 技力 :9 理解力:9

 信仰 :0 呪怨 :0 血統 :4

 幸運 :12


 二匹とも若干ステータスが異なっている。

 個体差という事だろうか。

 種族とレベルが同じためそこまで大差はないのだが。


「というか、やっぱり俺より強いんだな」


 分かっていた事だがなんか悔しい。

 そもそもレべルが負けているんだが、俺がレベル3になった時にステータスで上回る事ができるのかだろうか。


「名前は……ぬる? 何だコレ? 二匹が同じ名前、ってワケじゃないだろうし……」


 試しに呼んでみる。


「ぬる、お手」


 おすわりさせた二匹の真ん中に手をかざしてみるが、特に反応はなかった。

 まずお手が通じない気もしたが、おすわりが通じるなら通じても良いと思う。


 二匹とも舌を出したままハッハッハッだ。

 コボルトは体形が二足歩行のような人に近いもののため、おすわりはカエル座りみたいな感じの格好になっている。

 なかなか可愛いじゃないか。


「もしかして名前が決まってないってことか? そもそも野生だったわけだし」


 名前がないのも不便なので、適当につけることにした。


「よし、お前はマロだ。額にマロ眉っぽい模様があるからな!」


 マロは分かっているのかいないのか「ワン!」と相変わらず元気に吠えた。


「そしてお前はハチだ。額に八の字眉っぽい模様があるからな!」


 ハチも分かっているのかわからないけど「ワン!」と元気に吠てくれた。


< コボルトの名前をマロに変更しました >

< コボルトの名前をハチに変更しました >


 お?

 ピロリンが聞こえたので改めて二匹のステータスを見てみると、確かに名前の情報が更新されていた。


 生命力や筋力が高いのがマロで、理解力が高い方がハチだ。


 ちなみに最初に遭遇した、木の上から降りられなくなっていた方がマロだ。

 そして後で遭遇した方がハチ。


 二匹のライフやスタミナ、魔力はこんな感じ。


 名前:マロ

 状態:正常

 HP:210/210 SP:110/110 MP:20/20


 名前:ハチ

 状態:正常

 HP:200/200 SP:100/100 MP:30/30


 薄々気がついていたけど、ライフは生命力、スタミナは持久力、魔力は集中力の数値が元になってるみたいだ。

 それぞれの数値の十倍らしい。


 俺も含めて全員が魔力を有しているが、スキルとして魔法らしきものは覚えていない。

 マロとハチが持っていたスキルは同じで、鋭い爪と言う攻撃スキルと追跡といういかにも犬って感じのスキルだった。


 ……ん?

 ……あれれ?


 ステータスを確認しながら色々考えていた時、俺は恐ろしい事実に気が付いた。

 気が付いてしまった。




 俺、犬に理解力で負けてる……?

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