表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/27

#21

吉田名言集


「寝ても覚めても明日が来やがる」




凶刃、迫る!


エルフなる者共から放たれる暴力は、あるいは木刀、あるいはツルハシの形をもって一直線に宮崎と吉田に狙いをすませ、つき進む。

逃げなければ大層に痛手を被ることは明らかなれど、エルフヨーヨーなるエルフの妖術仕込まれたる糸に巻き付かれ、身動きは、とんと取れはせぬ。


とうとう悪童二人組も観念したか、目をぎゅっと閉じて迫る刃に怯え震えようも、はてな、ついぞその暴力が彼らに届く気配や無し。


その代わりにはキン、カキンと金属で打ち据える音ば響きたる。

その音ば止む後は、ただただ風の吹き去る感触が頬をなぞるばかり。


はて、これは面妖なと、宮崎なるは恐る恐ると目を開きたる。

さすれば両目に映る光景ときたら、十和田の子分揃って気を失い、十手(じって)構えた一人の女史が敵の大将十和田の奴輩と睨みあっておるではないか。


先ほどの鉄鳴る音は、この謎の女史が十手でもって、瞬く間に子分どもを昏倒させたのである。


「ひさしぶりだな。伊藤ォ?」!?


十和田に伊藤と呼ばれた女史は、耳の形こそエルフのようであったが、しかし色は黒き髪をたなびかせ、眼光ときたら氷のように冷たいのである。


「いつから私を呼び捨てできるほど"偉く"なったっスか"十和田"ァ…!?」!?


口を開けば眼光に負けず劣らず凍てつく声音。されども鋭さの中に甘さも見え隠れする様は、すわ何かの間違いでアニメ化する際は是非CVゆかなでオファーしようと考えてしまう程よ。


「アンタがウチらの"総大将(アタマ)"だったんは、十年以上も"ムカシ"の"(ナシ)"だ! 今さら"大将ヅラ"してんじゃねぇぞォ!?

"ガソスタ"の"バイト先"で頭髪検査にビビって黒髪に"染め"やがったエルフの裏切り者がよォ」!?


「裏切りだぁ……? "神樹(ハードラック)"を"(ダンス)"っちまったテメエが吐いていい台詞じゃないっスよォ…?!」!?


「"ゴタク"は"いー"んだよ…! "文句(モンク)"があんなら"かかって"こいやァ!!」!?


「"お(テメー)"が"来い"っス…!!」血管ビキピキ!?


「"上等(ジョートー)"だよ! アタイを怒らせた事、"全殺し"で"後悔"させてやんよ!!」!?


言い捨てるやいなや、十和田は後ろに跳躍、屈んで着地すれば両の手は素早く印を結び、(まじな)いの言霊を紡ぎいる。


「風よ。木よ。水よ。(いかづち)よ。我はエルフ、神樹の護り手、森に傘なす一団の雲なり。

陽の光遮り影落とすが如くに、我が力に応え給え。雷鳴が静謐なる森に木霊するが如くに、我が声を聞き届け給え。なにとぞ、なにとぞ、願い奉り候!!」


パンパンと二拍手するや、腕を広げればバチリバチリと右手にひとつ、左手にひとつ、雷玉けたたましく生まれたり。


「エルフ魔法でも最高位の"雷魔法"だぜぇ?! 右手で10ボルト。左手で10ボルト。

つまり、"二つ"で"100ボルト"だァァ!!」!?


「えっ?」

「いやその理屈はおか……」


事態を静観していた悪童二人組も、ついぞ生じた疑問にたまらず声を出した。のだが、バチバチバチィ! 雷玉の音にすぐに掻き消されてしまい十和田と伊藤の耳に届くこと叶わぬ。


「神樹を売るより、真面目に発電所あたりで働けば良かったんじゃないっスか?」


「「「働きたくねェんだよ!!」」」


なぜか三人の声ぞ重なりて、伊藤がもらすは溜息なり。

喰らえばひとたまりもない雷玉であろうにも、伊藤女史に至るは飄々としたものよ。

その態度、十和田の癇に障る次第となりて、雷玉は更に大きくなるばかり。


「余裕かませンのも"今"のうちだぜ…! そォラまだまだ"威力"を"上"げてやんよォ!

2000ボルト…!

4000ボルト…!

8000ワット…!

16000オーム…!

32000ボルト…!

64000ナルトだってばよ!

そしてェ! これでェ! 一億アンペアアアアアアアア!!!!!!」!?


一億アンペアの雷玉なるや、両手に抱えきれぬほどの巨大なれど、十和田は更なる二拍手二礼を用いれば、たちまち雷玉は握りこぶしの大きさに圧縮されゆ。そいつをエイヤと殴りつければ、ドカァンとさながら大砲のような発破音と共に雷玉ば伊藤女史に着弾せり!

これは余談だが、天正四年に大友宗麟なる者が、ポルトガルの宣教師より石火矢を入手せしめ「国崩し」と名付けたるが本国における最初の大砲とされている。

(※Wikipedia調べ)



一億アンペアの雷撃に、伊藤女史の安否たるや、どうだ。どうであるか。

矢張り雷に討たれ絶命も止む無しなのであろうか?


否!


ああ、なんと無傷であった!

その表情変わらず、服装もまた焦げ跡ひとつ見出せぬ!


「静電気除去士の名は"ダテ"じゃ"ねぇ"っスよ!!」!?


すっごーい!

君は電気を食らっても平気なフレンズなんだねー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ