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#12 ●

吉田名言集


「セットって言われたけぇ食べやすいように気ぃ利かせて、パンズにハンバーグとポテトとジュース挟んでお出ししたらクビになった」





ファミレス『カズト』にてドリンクバーを二つ、吉田はそれに加えて南蛮定食を注文した。

俺は自分用にメロンソーダを。吉田にはメロンソーダに未知の液体を混ぜたモノを注いで机に戻る。


「おお、ありが……って何じゃこの色は!? え、大丈夫? 飲めるんこれ?」


「店側が用意してるんだ。問題ねえだろ」


この俺が自ら注いでやったんだ。文句の一切は認めない。


こうでもしなければ気が収まらないというものだ。

俺は痛む爪にフゥフゥと息を吹き掛け、先ほどの出来事を思い出していた。





俺の両小指の中心に、全裸の吉田が親指の爪を突きたてている。

痛い痛いやめろと懇願すれば、「じゃあ小指同士掛けて思いっきり引っ張ったら許しちゃるわ」と言ってくれた。


それに何の意味があんの?


どうせ吉田の言うことだ。意味がない事のほうが多い。

実際、吉田の台詞に意味がある確率は、神羅万象チョコを置いてるコンビニ並の確率で低い。ほんと何で置いてねーんだよ神羅万象チョコ! ウェハース美味しいのに! カード集めたいのに!


神羅万象の怒りをぶつけるが如くに小指を絡ませ、えいやっと引っ張れば、

「ぐがああああああああああ!!!?!?」


ナニコレ痛いヤッバイ痛い!!!

俺の小指に電流のような痛みがカールルイスばりの速さで駆け巡る!


ああ思い出したコレ小学生の頃に流行った悪戯じゃん! 当時教頭に仕掛けた末にボッコボコに体罰食らった悪戯じゃん!

あの時の教頭の顔が今でも夢に出るくらい怖かったじゃん!

やった事ない人は是非とも友達に試してみよう。試した数だけ友達が減っちゃうゾ☆


吉田は俺が悶え苦しむ様を見て満足したか、涼しい顔で「まずは服買わんとな」なんて言いやがる。

……いつか覚えとけよ?


それからシモムラ(服屋)行って服買って、今に至るのだ。



「それにしても、やっぱ吉田のそれは反則だわ」


あまりにも便利すぎる。


通行人に道を聞き、服屋に行くの歩くのダルいなーって思ってたら、「車になれー!」と叫ぶだけで吉田は車形態に戻ったのだ。


「お前、そこは『トランスカー』って叫べよ! どうすんだよあらすじで能力名さきに言ってんだぞ!?」


「それを言うなら宮崎君は『ホタルダイヴ』一度も試してないし、『禁聖剣シンシア』だって売ってしもうたじゃん?」


南蛮定食を頬張りながら吉田がジト目で睨んできやがる。


なんだその反抗的な目はー!

ふんだ! 大体最初に剣を売ろうって言い出したのは吉田だろうが!!(俺のほうです)


ホタルダイヴだって全身が光るだけだろ? 実行するタイミングが思い付かんわ!!


「まあええわ。それで、これからどうするよ?」


「あー、武器屋の話じゃあ暮らすには市民権ある方が何かと便利らしいが、市民権を得るまで三年分の税金を払わないといけないらしい。

金はあるからいいんだけどね。問題は一回でも納税すると仮市民で登録されちまうんだ。

国宝級……というかまんま国宝の剣をオークションに流すんだから、それまでは出来るだけ俺たちの足は付きにくくする方がいい。

だから当分は根無し草のままブラブラするのが吉だってよ」


「ふーん。じゃあ観光じゃな」


「そうそう。こっから北にある町が温泉街らしくて、まずはそこに行ってみたいな」


なんて話をしていると、ふと隣のテーブルからの会話が耳に入った。


「あーー、ギルド行っても相変わらずモンスター討伐の依頼なんか微塵も無いのぅ!」

「平和だからねー。平和なのはいいことだよー」

「ぬぅ! 平和ボケしおって! 地道にコツコツ地域のお仕事なんてやっとられん! ドガッと一発当てたいんだあああ!!」

「無理無理。この辺りのモンスターは全部狩り尽くされてるからー」

「くっそー! 忌々しきはエルフの奴らよ!!」




エ、




エ……、





「「エルフだとぉぉぉおおおおー!!!?!?」」




また吉田とハモった´`



今回はタイトルに『●』があります。

これは『作者が眠いマーク』と制定します。

今後このマークがタイトルにある時は、どうか「眠いくらいなら書くなや……」と呆れながらお読みください。

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