ウィザードの息子は次期魔王に選ばれた 1-2
「このクソムシが!」
変な生物を虫かごにとらえて帰宅する。
「レフォル! なんですかその顔は!」
「ああ、さっき……」
「喧嘩など情けない!」
してないのにな……叔母さん早く出てってくんないかな。
「うちのツナアァなんて……」
この人は忙しい両親の代わりに面倒を見るという名目で住んでいる父方の妹だ。すごく息子自慢してくる。
「勤勉一族クラールの面汚しが!」
「いくら本家の跡取りとはいえ、これではスターダストラグリオンの代表にはなれないわね」
7年に1度開かれる魔法界ミーゲンヴェルドで最も権力を持つものを決める戦い。それがスターダストラグリオンで、参加資格を持つのは7つの大魔道一族だ。
有名なのはラウルやレイン女王などの偉大な人物だ。ちなみに女性名詞はドゥルグリア。
長になると期間内で婚姻はできなかったり、膨大な魔力で全土を監視しながら統治することが必要。
「そんな芸当、俺はできない」
この甘やかされた従弟にも無理だ。まかり間違ってしまえば次の戦までに世界は終わってしまう。
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「このあたりだと……」
「クラールの本邸じゃないか……」
レーダーの反応を頼りに魔法界領に来てしまった魔界領の3人。少女が物珍しさにキョロキョロする。
「魔法界はじめてなんじゃ~」
「白くておちつかないのだ!」
「静かにしろ、田舎者に思われるだろ!」
「ねーあの人の服、鎖だらけでだっせー」
「しっ!」