7/12
ウィザードの息子は次期魔王に選ばれた 1
「今回は運の刻限……クジで決めよ……ということだな」
「魔王様クジとはどんな?」
「どんなー?」
「あみだ」
「貴族の子が何人いると……横にスペースをとりますよね?」
「しかたがないな、あれに決めてもらおう」
「なんですかこれー?」
「某ポッターのスポーツで使ってた動くボールみたいなの」
「あー! あれですかー」
「これがな、自動で動くからぶつかったらソイツが次の候補な」
■
「魔法学園の生徒たるものー常に品位をー」
今日の授業が終わり、明日からは夏休みだ。
「かえろ」
「まってよ!」
みんな毎日元気だな。
「なーに読んでんの?」
「新刊のオカルト特集」
「げっ魔族本じゃんコワー」
かつて邪神を崇拝し、悪魔と契約を交わした人間。人知を超えた力を持つ彼らは永く生きるそうだ。
一応は同盟を結んでいても、互いに腹はわからない。少なくともこの国では魔族を畏怖している。
「たいして怖くないさ」
「変わってんな」
「あれ?」
クラスメイトが窓を指さす。なにかがこちらへ飛んできた。
「ギャアアアア!」
窓ガラスを割って飛行物体が顔面を直撃した。