4話道を開く合言葉として有名なのにはひらけごまとかあるけどあれって単純だけど、頭に残るし考えられてると思う
投稿遅れてごめんなさい
学生だからテストとかテストとかテストが…ね?
クヲンとクラウスが財布を盗られ、町中を駆け回ることになる前日、町のはずれの小さなボロ屋。そこで、少女の声がしていた。
『ふふふ…。なんでそんな顔してるのかしら?まさしく後悔って表情ね』
「多くの人から財布やいろんなものを盗ったのよ?自分の意志でなくとも嫌に決まってるじゃない」
『なんで他人のことなんて気にするのかしら?』
「…あなたにはわからないわよ。わたしだってあなたが何を感じているのかわからないみたいにね」
『ふふふ…。わたしは、あなたが何を感じ、思っているのかきちんと理解してるのよ?そのうえで理解する必要がないと判断したのよ』
「………………」
『あなただって、ほんとはそうなんじゃないの?』
黙りこむその反応を見て一つ溜め息をつくと、
『まぁいいわ。今日は、もう寝ましょうかしら。明日はせっかくの盛大なパーティーなのだから寝坊でもしたら大変でしょ?』
「パーティー?あなたなにするつもりなの」
怒気混じりの声で聞くが完全に無視をされ、気づくと少女の意識はなくなっていた。
*
現在、クヲンとクラウスはティにナビゲートされながらエルフの少女を追いかけていた。
ティによると、最初に伝えた場所から数キロ行ったところで動きをやめそこにとどまっているらしい。
「はぁはぁ…。なぁ、ほんとに動いてないんだな?なんでだ?」
「知らないわよ。そこが家とかなんじゃないの?」
「でも、これから大会の準決勝をして、その後はエキショビジョンマッチを挟んで決勝だよ~?人も多くなるだろうし、スリするなら絶好の機会だよね~」
「たしかにそうかもな…」
「てか、そもそも今あのエルフがいるとこら辺はなにがあるんだっけ?」
俺がそういった瞬間。クラウスが何かに気付いたのかはっとしたように表情を変える。
「わすれてたよ~」
「何をだ?」
「いや~俺について詮索はなしっていうなら教えるよ?」
こいつ…。
クラウスとはそれなりに長い付き合いだが、いまだに知らなかったりする秘密や力があったりするからたちが悪いんだよな。
まぁ、強いし魔法の知識もすごかったりするから弟子になっていろいろ教えてもらえるっていうのはありがたいんだが…。
「はぁ~…わかった。それで?何を忘れてたんだ」
「ティちゃんの言ったところって~確かお墓のあたりだったはずだよね?」
「そうね。だいたいそこら辺のはずだと思うわよ」
「実はねそこら辺のお墓の近くに闘技場。要するに今大会をやっている場所に直で通じる道があるんだよね~」
「それはほんとうか!」
てか、なんでそんなものがあるんだよ!!そもそもなんでそれを知っている!
まぁ、余計な詮索はしないって言ったから何も聞かないけどさぁ…
「ほんとうだよ~。まぁほんとうにエルフの子がその抜け道を知っているのかとか知っていたとしてなにが目的なのかとかはわかんないけどね~」
「まぁそれはどうでもいいだろ?俺らの目的はあくまでも財布をとりかえすことなんだからな」
「それもそうだね~」
(…でもなんか嫌な予感がするんだよな)
遠くの空を見ながらそうクヲンは思った。
(まぁいいか。今は急ぐしかないな!)
そうしてクラウスがいう墓地に向かった。
墓地に着くと、ティがこの近くにエルフの魔法の反応があると言いだしたから周りを警戒したが誰かが隠れていそうな様子はどこにもなかった。
クラウスは「たぶんここにはいないと思うなぁ~」とだけ言うと、そのまま歩いて墓石がある一帯から少し離れ林のなかに入っていく。
ティが反応があると言っているなか。なぜ、クラウスがここにはいないと言えるのかはわからないが、抜け道があると言ってるのに使わないのも
おかしいと思い黙ってクラウスについて行く。
林に入るとすぐによくわからない石碑があった。クラウスはその石碑に対し、
「我はこの道を知る者なり。この言葉をもってして、汝、我を通したまえ」
と唱えると。石碑が動き、階段が現れ地下に通じる道ができた。
「まさか…こんなものがあったなんてな…。」
「私も知らなかったわよ。こんなもの。」
クヲンとティが各々の思ったことを口に出し驚いている中クラウスだけは、
「あははは~。まぁ知られてたらそれはそれでこっちとしては問題なんだけどね~」
なんて言って気楽そうにしていた。
階段を下りると、外から入ってくる光で入口付近は目が見えるが、奥を見ると真っ暗な道が延々と続いている。
左右の壁にはくぼみがあり、そこには油がひかれているようだった。
クラウスは、軽い炎の魔法を使いそこに火をつけると火がどんどん伸びていき奥まで見通せるように明るくなる。
「行こっか~」
………………。
「なんなんだろうな。こいつの規格外感…」
「そうね。でも気にしてちゃこの先付き合って行けないような気がするわね…」
二人はクラウスを見て思わずそんな言葉が出てきた。
「なぁクラウス」
「ん?なに~」
「さっきここに入ってきたとき火は着いてなかったし、石碑も閉じてあったぜ?ほんとうにあのエルフはここを通ったのか?」
「あ、それは私も思ったわ。そもそもあのエルフの子の魔力はあの墓地の近くで途切れてなくなったように感じなくなったわ。どういうことなの?」
そうだったのかと思うクヲン。
それをクラウスは、
「あぁ~ティちゃんがそう言ってるってことは間違いないと思うね~。まず、ここは入るときみたいな感じで出るときも合言葉があってね、
それを言ったら炎も消えるし碑石も閉じるんだよ~」
と答えた。
「私が言ってるから間違いないっていうのはどういうことなのよ?」
「それはね~ここは魔法でできてる道なうえに隠すために特化しているんだよね、だから入ったと同時に魔力の感知をされてここの存在がばれる
なんてことにならないように、妨害されるような力が発動するんだよ~」
「なるほど…。だから、ずっと同じ場所から動かなかったのか。」
ティも納得したように頷いている。
「てか、そもそもなんでこんな場所に道があるんだよ?」
「ん~詳しくは知らないんだけど、最初は闘技場で何かあった時の避難路として作られたらしいよ~。」
「じゃぁなんであんな合言葉知らないと開けない抜け道になってるんだ?」
「それはわかんないね~。俺、ここにそうとう使える道があるってことだけで満足して、調べたりとかは何もしてないからね~」
「何かが襲ってきたことをそうていしたなら、避難先を知られてたりしたら待ち伏せされてしまうからとかかしら?」
でも、そんなことして避難路を知らない人がいたら本末転倒じゃないか?実際俺だって知らなかったし…。
にしても、ほんと…財布取り返したいだけなのになんでこんな怪しい雰囲気ムンムンの地下道を進むことになるんだか…。
「はぁ~」
それを改めて思うとため息がでてくる。そもそも、なんで俺が財布を盗られなきゃならんのだ。ていうかそれ以前に、クラウスが
余計なものを買わなければこんなに必至こいて追う必要性もなかったし…。てかそうだよ。こいつが3万もするキーホルダーなんて
買わなければ、俺らがこうしてスリを追いかける意味もなくなるし、まず皿洗いなんてしなくて済んだんじゃねぇか!
そう思うとなんかだんだん腹立ってきたな。今日の俺への不幸はほとんどすべてもとをたどるとこいつのせいってことだしな。
…よし!
「なぁクラウス」
「なに~ほかに質問?」
「一発殴らせろ」
「嫌だよ!なんで急に!?」
「いやな、今日のことを振り返ったら悪いのは全部お前だったような気がしてきてよ」
「俺は悪くないって~!ティちゃんもなんか言ってやって!」
「クヲン頭おかしくなったのかしら?」
「そうだよ~ティちゃんの言うとおりだよ~!」
「そうはいうがな。そもそもだなティ、こいつがいなければお前も、いまごろは快眠できてたかもしれねぇぞ?」
「……………」
そう言われるとティは見事に手のひらを返して、
「クラウス?クヲンの後で私も魔法で迎撃するからよろしく」
なんて、おそろしいこと言いだした。
それを聞いたクラウスは二人してひどいよ~ぐれてやる~師匠がぐれたら怖いってこと教えてやる~なんて言って、ぶつぶつ呟いてる。
そんな会話をしていたら、すぐに地下道の端に突き当たり出口のところまで来た。