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精神病×医者=甘くない現実〈前篇〉

「相多先生!!607号室の瑞国さんがっ!!」

「また?はあー」



私は重い腰を上げ、607号室に向かう。

ああ、もう。なんでこんなにしんどい思いしないといけないわけ?そう思いながらも走る私の足に少し呆れながら考える。

607号室。1人部屋で、去年から入院している男の子がいる。

名前は瑞国 智樹くん。高校1年生。

彼は瑞国財閥の二男らしい。少し前に看護婦さんたちが騒いでいたのを覚えている。

彼は自殺未遂だっただろうか?情緒不安定の状態でこの私が勤務する病院に運ばれてきた。

本当にあの時は大変だった。

三日三晩ずっと暴れて暴れて、夜も仕方なしにここで寝泊まりしたぐらいだ。

夜勤でもないのに病院での寝泊まりは本当にきつかった。まあ、家に誰かいるわけでもないし、家族や恋人がいるわけでもない。何て悲しい人生なんだろう。

ああ、話がずれた。

智樹くんはその後なんとか安定してきて落ちついたけれど、でも、いつまた暴れるか分からないため入院しているのだ。

そして今、発作のように泣きわめき、暴れる彼を落ちつかせるために、たびたび来るこの呼び出し。

彼は私でないと安心できないようで、他の人が近づくと一層激しく暴れるそうだ。

なんで私なのかは分からない。うん。何で?

疑問を感じながらも彼のいる病室に着く。

中からは何を言っているのか分からないが叫び声と嗚咽が聞こえる。ああ、今日はいつもより酷いのかもしれない。面倒だ。



「智樹くーん。入るよー?」

「あ、先生!!すみませんっ、私たちでは取り押さえる事しか出来なくて・・・」

「ううん、ありがと。もう良いよ。ちょっと病室から出ててね」

「はい。ありがとうございます」



彼を取り押さえていた看護婦たちが部屋から出ていく。

私は目の前で泣きながらベッドの上で蹲っている彼を見つめる。



「智樹くん」

「あ、あああ・・っあ、!!!」

「智樹くーん」

「っひ、あああ、せ、んせい?」

「そうだよー、智樹くんの大好きな相多先生だよ」

「先生、せんせい、助けて、助けて」



私を認識したのか蹲っていた体を起こし、ベッドのそばにいた私にすがるように抱きつく。

痛い痛い痛い!!なにげ力つよっ!!



「何から助けて欲しいの?」



いつも言う“助けて”。私はいつも何から怯えて助けを請うているのか分からず、いつもこの質問を投げかけるのだが、答えはいつも一緒。



「嫌だ。先生助けて。怖い」



本当に彼は何から怯えているのだろうか?別に学校でいじめにあっていた、という訳ではないようだし、むしろ彼は学校でも有名で人気者だったようだ。

何が起きてこうなったんだろうか?

まったく見当がつかない。もしかしたらこの恐れているものが分かれば彼は元の人気者に戻れるのかもしれない。

私はため息を吐きそうになるのをこらえながら、彼の柔らかい栗色の髪を撫でる。

本当に何があったんだろう。

彼は要素も良く、世間で言うイケメンなんじゃないだろうか?それに根元は黒くなっているが染めたであろう綺麗な栗色の髪。彼が人気者だったという証拠のような気がした。



「智樹くん。助けてって言われても何から助けたらいいか分からないよ。ね?先生は何から助けたらいいの?教えて?」



智樹くんの顔を手で優しく触れながら目線を合わせながらもう一度聞いてみる。

智樹くんは尋常じゃない汗をかいていて本当に怯えている事がわかる。彼はそっと私の手の上に手を重ねながら戸惑うような、どうしたらいいか考えているような瞳で私を見つめかえしてきた。



「先生は、俺の事、信じてくれる?」

「・・・ええ、信じるわ。だって私は貴方の先生なのよ?」

「ほ、んとうに?裏切らない?」

「ええ。裏切らない」

「・・・・・・・・・・・・・・・兄さん」



かすかに動く唇から洩れる彼の声。

しっかり聞いておかないと分からないぐらいの音量で言った“兄さん”。

彼には確かに兄がいるようだがどうして怯えるのだろうか?

彼の兄はとても性格がよく、週に1度はお見舞いにこの病院を訪れている。

しかし、この怯えよう。

彼は兄に怯えているのは確かだ。なら、私がする事はただ一つ。

私は彼の髪を撫でながら優しく言った。



「お兄さんが怖いのね。分かったわ。これからはここに来ない様に言っておくから、ね?安心して」

「ほ、んとう?」

「うん、本当。・・・他に何かある?して欲しい事とか」

「・・・せ、んせい」

「ん?」

「先生以外この部屋に来てほしくない、こわい」

「怖いの?いいわ分かったわ。これからは先生だけここに来るわね」

「・・・・先生」

「何?」

「・・ありがとう」



初めて見た彼の笑顔。

流石にこの子に甘くしすぎたかなと考えていたけれど、彼の笑顔を目にし、ああ、これで良かったんだと思った。


それが間違えであると気付かずに。



―――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・・・・続きかよっ!!」



私は床に投げつけてしまいそうになるのを我慢し、本を閉じる。

もう寝よう。

ベッドに入り目を閉じる。

・・・あ、そういえばめぐ風邪大丈夫かな?明日アメでも持って行こう。

なんだかんだ言ってめぐは私の大事な友達だからね。


おやすみなさい。




久しぶりすぎて文章ってどうやって書くんだっけ?って思っちゃいました爆笑


しかも内容急展開過ぎて吐きそうです★


文才が欲しいです(;一_一)

未熟者ですが楽しんで頂ければ幸いです^^



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