ホスト×OL=さようなら、愛しい人
もう止めよう。今日で最後にしよう。そう意気込んで、一歩踏み出す。
視界一杯に広がるきらびやかな輝き。そして、色んなもので埋め尽くされた店内。さっきの勢いはどうしたんだろう、一瞬にして私の気持ちはグラつく。
ううんっ!!私は今日で終わりにするのよっ!!彼にプロポーズされた時、心に決めたじゃないっ!!ホスト通い何か止めてやるってっ!!
「いらっしゃいませ、・・・ああ、若狭様でしたか・・・こちらです」
「あ、・・・ええ、ありがとう」
ボーイの人が私を見て、少し眉を潜めたのに気づいた。私を迷惑な客とでも思っているのだろうか?そりゃ、よく通っていたけれど、それはお店側にとって良いことではないのだろうか?良くここへ来るが、お金は何の惜しみもなくつかっているのだから、このお店の妨害はしていない、多分。まあ、それも今日までだ。安心しなよ、ボーイくん。私はついに最愛の彼と結婚するのだからっ!!ああ、今思い出してもドキドキする・・・!!彼の恥ずかしながらのプロポーズ。私は最初夢かと思ったわ。夢じゃなかったけどねっ!!
そうよ!そのいきよっ私っ!!愛なんかない男にお金を使うなんて止めたほうがいいのよっ!それよりも、これから彼との間に出来た子供のためにお金貯めないとっ!!
通された部屋。
いつもここに通される。
私が指定した事はない。私は結構の迷い癖があり、むしろあちらの逆指定されてとても助かっていたりする。ならなぜこんな所に来ているのだろうか、と思う人もいるだろう。簡単だ。愛情が欲しかったのだ。私の・・・もうすぐ旦那様になる彼はとても浮気症だった。私は彼が浮気している間、気を紛らわすためにここへ通っていた。もう、ここには今日で最後になるのだけれど。
部屋に入ると笑顔で迎え入れてくれる彼。ここで働いているホストだ。
私は彼としかあったことがない。
いつもこの人が逆指定してくるからだ。
「お久しぶりですね」
「ええ、そうね」
「どうぞ、こちらへ」
いつも丁寧な言葉で話しかけてくる。
ホストと言うより、執事のようだ。彼、本人には言わないけれど。
「ねえ」
「はい、何でしょうか?」
「前、言ってたじゃない?彼氏が浮気するって」
「ええ。言っていましたね」
「私、ついに彼と結婚することになったの」
「・・・・・・・そうなんですか?」
驚いたのか、少したってから返事をした彼。
それもしょうがないか。だって彼にはどれぐらい私の彼氏が浮気症かを言い、文句を言い、愚痴ってえを繰り返していたのだから。そんな浮気症な彼氏と別れずに結婚。驚かない方がおかしいわよね。
「彼ったらね、とっても恥ずかしそうにプロポーズしてきたの」
思い出して少し笑ってしまう。
「『浮気したのに側に居てくれる君がとても愛しい、これからも側にいてくれないか?』だって、ふふ。顔真っ赤だったの」
コップに入っているお酒を口に含む。
私は隣に座っている彼に視線を向ける。
「彼の側にいたいから、もうここにはこれないの。今までありがとね、いろいろ愚痴を聞いてもらって・・・?カイさん?」
「・・・・・・・・・・」
何も言わず、ただ私を見つめるカイさん。その瞳が冷め切っているのは私の気のせいではないだろう。
「カイさ、」
「それ本当?」
「・・・え?」
「もう、来ないの?」
私の頬に触れたカイさん。初めて彼が私に触れた。優しく、冷たい指が私の頬から唇のところで止まった。
「そいつと結婚したら、もう会えないの?」
「カイ、さん?・・・どうかしたんですか?」
「ねえ、会えないの?もう?一生?何で?何で何で、何でっ?!!」
「!!」
いつもと様子の違う、何が起きた?目の前にいるのは本当に私の知っている、彼?
頬を触れていた手が不意に肩へとうつった、浮遊感。え?
天井が見える。私、押し倒された?え、何で?
「京子さん、浮気しよっか」
「え?」
「浮気したら、そいつ京子さんから離れるよね?」
「は?」
「京子さん、もう会えないなんて悲しい事、言わないでよ、ね?」
「カイさん?」
優しいいつもの笑顔を私に向けながらカイさんは私の服の下へ、指を
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「あああああっ?!!」
私は夜だという事を忘れて叫んでしまった。
いやいやいや、これはおかしいだろ、流れ的にこのまま行くと・・・あはんうふん展開だっ!!
どー言う事っ?!!私聞いてないからっ、この小説エロありなのっ?!!私そういうの無理だってっ!!
何て羞恥っ!!ヤンデレよりもきついって!!
赤くなった顔に手をのせる。おおおおお、落ち着くんだ!!私っ!!
そそそ、そうよ、飛ばして読んだらいいんじゃんっ!!
あ、ははっはは、なに動揺してんだよ、私っ!!
深呼吸をしてから私は、数10ページめくってまた、小説に意識を向ける。
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「京子さん京子さん京子さん京子さん京子さん」
「・・・・・・・・カイ、さん」
擦れた声が出た。どれだけやめてと言ってもやめて貰えず、何度も何度も中に出され、涙が止まらない。
彼を裏切ってしまった。私は彼だけのものなのに。
ああ、汚されてしまった。彼との子どもが欲しかったのに、このままじゃ、カイさんの子どもが出来てしまう。身体を洗って、病院に行こう。私は立ち上がろうとした。
「京子、さん・・・どこに行くの?」
もういつもの面影はなくなっていた。顔は泣きすぎて目は腫れ、汗をかいたせいか前髪が少しおでこに張り付いている。
情けない顔。いつも大人っぽくて、私より年下のはずなのに私より年上に見えていたのに、今は年相応に見える。
「イヤ、だ。イヤだ、お願い・・・行かないで、お願い。お願い、京子さん、ああああああ!!」
まだ止まらない涙。一心不乱に私の腕を掴んで泣き叫ぶカイさん。
彼のところに行きたいはずなのに。どうして、どうして?
「京子、さん?」
何故、カイさんを抱きしめているんだろう?
「大丈夫。どこにもいかない。貴方のそばにいるわ」
「ああ、京子さん、京子さんっ!!」
私の肩に零れる涙。私のではない、彼の涙。
しょうがないから、貴方の側にいてあげる。
もう会えないであろう彼の顔を思い出した。ああ、どうしてこうなったんだろう。
私はカイさんの少し汗で湿った髪を、なでた。
ここへ来なければ、幸せだったかも知れないのに。
私の頬に温かいものが流れた。
「京子さん、大好き」
ああ、どうしてこうなったんだろう?
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「・・・・・・」
すっごくドロドロなんですけど。
何て残酷、何て暗い。
後味最悪じゃん。
私はなんともいえないまま本を閉じ、ベッドに寝転んだ。
「明日、めぐぶっ飛ばす」
エロありなんか聞いてないっつーの。
※補強※
ひーちゃんこと、主人公が数10ページも飛ばしたため、少し内容が分り辛いところがありますので、言い訳・・・説明させていただきます^^
○ボーイが何故京子さんを見て眉を潜めたのかと言うと、カイさんは実はお店の№2のホストでもの凄い人気があります。
彼女が来るといつも彼の所へ行くので、裏でカイさんを買っているんじゃないかとか、色々噂があっての勘違いです☆
○カイさんが京子さんを好きな理由。
京子さんに一目ぼれしたのは彼が高校生の時です^^
このお店に来させたのも彼です☆
あとは皆様のご想像で補強して下さい\(^P^)/