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他人格×主人格=私と君の2人だけ

私の机の上に置いてある本。

ブックカバーが掛けてあるから中身は分からない。だが、私は理解した。

これは、ヤンデレものだっ!!っと。

私は一瞬にして視界からその本を消しさる。横を見ると嬉しそうな、腹立つ笑顔のめぐ。はっ倒してやろうか。

仕方なく私はその本を鞄の中にしまった。

めぐは読まないと永遠でも地平線の彼方でも追いかけてくるほどしつこいのだ。

・・・学校休んだらよかった。はあ、今さら後悔しても遅いけど、ね。






   ★★★





私は学校が終わるとそっこー帰った。

めぐは黒い長い車に乗って帰ったよ。誘われたけど断った。っは、金持ちが!!


私は苛立つ心を落ちつかせ、本を開いた。



―――――――

―――――――――――――

「倫ちゃんー」

「ん、・・・・倫太郎?」



私の髪を優しく撫でる倫太郎。私のもう一つの人格。彼は私が小さい頃からずっと一緒にいる。物心ついたころにはもう私の中にいた。

私が悲しい時とか、心細い時にいつもそばにいてくれる。

私は彼が大好き。唯一私の事を分かってくれる存在。



「倫ちゃん、久しぶりだねぇ」

「うん、久しぶり」



私は倫太郎のお腹に抱きつき、背中に手を回す。倫太郎の匂い。私と同じ。落ちつく。

私が抱きつくのはいつもの事だからあまり動揺せず、私の髪に指を絡める。



「本当、倫ちゃんはいっつもギリギリまで溜めちゃう子だから、心配なんだよ?俺が居るんだから、頼ってよ、ね?」

「倫太郎・・・?」



倫太郎は私の頬を両手で包みこみ、額に唇を落とした。



「倫ちゃん、倫ちゃん、倫ちゃん。1人で頑張らないで」

「倫、太郎・・・?」

「あ、もうすぐ朝みたい・・・残念。じゃあ、」



“また夜に会おうね”

目が覚める。朝だ。

倫太郎とは私が寝るか気絶しない限り、私は会えない。倫太郎はたまに勝手に私の体を使って何かしているみたいだけど、私は記憶にないから、彼が何をしているのかは知らない。でも、倫太郎の事だから私に害のある事はしないだろう。

私は、ベッドから降りた。



   ×××



私には友達がいない。

誰も私に近づかない。私はなぜか分からなくて、一度倫太郎に泣きながらすがりつき聞いたことがある。

その時の倫太郎はとっても私に優しくて、倫太郎さえいればいいと思った。

倫太郎、倫太郎、倫太郎、倫太郎!!私だけが知っているたった一つに大切な人格。もう一人の私。

机に誰かの手が置かれた。

私は手の主を確認しようと顔を上げた。



「?」



知らない女の子だった。少しメイクがキツめで、私もメイクキツめだけど、それ以上に凄い、それに香水の匂いもする。でもすっごく美人だった。

私は何かしただろうか?記憶にない。



「ムシしてんじゃねーよっ!!」

「・・・へ?」



考えていたせいで、彼女を無視したと勘違いされてしまったようだ。

彼女は私の頬を引っ叩いた。彼女の爪が長かったせいで、少し頬が切れ血が出た。



「あんた、私の彼氏たぶらかしてんじゃなーよっ!!あんたのせいで、私振られたのよっ!!何であんたなのよっ!!どうせ身体でも使ったんでしょっ?!!サイテーっ!!私本気だったのにっ!!彼を帰してよっ!!帰してっ!!」



何?どういう事?私知らない。彼って誰?知らないよ。そんなの、何で叩かれたの?意味分かんない。あああああああああ、助けて助けて助けて、倫太郎、倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎っ!!!!!!!



「はぁい。呼んだ?」

「ああああ、倫太郎!!倫太郎倫太郎倫太郎っあああああ」

「あっは、相当きてるね・・・ほら、ここには俺達だけ、安心して」

「倫太郎、りん・・・太郎・・・恐いよぉ・・・私、彼なんて知らない。たぶらかしたなんか、・・・知らないのに」

「うん。そうだね。知らないね、俺も知らない」

「・・・・・恐いよ」

「よしよし、良く頑張ったね。後は俺に任せて?大丈夫。倫ちゃんは何も気にしなくていいからね」

「・・・・うん」

「・・・ふふ、いいこ。お休み」



視界が暗くなる。

お休み、倫太郎。



「さーって、倫ちゃん寝たし・・・泣いてたなぁ、あーどうしよう。どうやって仕返ししようかな。半殺し位なら許してくれるかな?うん。許してくれるよね。だって倫ちゃん泣かせたし。・・・俺だけが泣かせていいのに、俺だけの、なのに・・・ふふ、楽しみだなぁ」



   ×××



「倫ちゃーん」

「・・・・・?・・・倫太郎?」

「おはよー」

「お、はよう・・・?もう朝?」

「そうだよ。もう朝だよー」



朝ならもう起きるはずなのに。私が不思議そうにしていたのか倫太郎はにっっと口端を上げながら、私に話す。



「もうずっと一緒にいよ?」

「え?」

「もう倫ちゃんには悲しい思いして欲しくないんだ。ここでずっと俺といよ」

「・・・倫太郎?」

「倫ちゃん、この精神世界で俺と死ぬまで一緒に過ごそう?そしたら倫ちゃんは悲しい思いも、寂しい思いもしないで済むんだから・・・ね?」



頬を涙が流れていく。

ああ、嬉しい。これでずっと倫太郎と一緒にいれる。

私は倫太郎に抱きついた。

倫太郎が妖しく笑っていたのに気付かずに。


――――――――

――――――――――――――――

「・・・・・・・・・・・・」



私は静かに本を閉じた。

挫折。何なんだこれは、表紙を見ると、短編を集めたヤンデレ集だと言う事は分かった。だが、何なんだこれは(2回目)しょっぱなからなんて恐ろしい。

私はこんな恐ろしいものを読まなければならないのかっ?!!

・・・でも、めぐしつこいし。

一日一話にしよう。うん。そうしよう☆



「さて、寝るか」



私は本を机に置いて、ベッドに潜り込んだ。




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