表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つまらない話  作者: 優陽
2/7

ピュアな下心の話

僕は鈴木さんの右手の部屋に住んでいる。

鈴木さんの足下の階に住んでいるのは胡麻こまちゃん。

彼女とは話したことはない。

いや、これからも話せるかどうか……。

なにせ見る機会も少ないのだから。


夕方、鈴木さんは部活で汗を流していた。

テニス部だ。

1球1球一生懸命に打っていることが分かる。

僕の体にもそれが伝わり、汗がどっと流れ出る。

そんな中

「おっ、甘い球が来た」

そう思った矢先、彼女のスマッシュが炸裂した。

スマッシュは僕にも炸裂した。

それは血飛沫となって顔中に広がる。

彼女がスマッシュを決めた瞬間チラリと見えるスカートの中を見て。

彼女のケツを見て。

正確には、ケツについている黒胡麻を見て。

僕が惚れている胡麻ちゃんを見て。

ホクロの黒胡麻ちゃんを見て。


夜、鈴木さんは自宅で、右手のホクロの部分にばんそうこうを貼っていた。

不思議そうに呟く。

「どこかでケガしたっけなぁ? 痛くもないし、何で血が出てるんだろう?」

右手ホクロの僕は目の前が塞がったことで嘆いていた。

「あぁ、僕の飼い主の鈴木さん、何てことをしてくれるのです。これじゃぁ何も見えないじゃないか。こんなこと……。でも僕諦めるしかないのかな。同じ体に住んでる家族に恋してしまうなんて……」


毎日のお風呂の時間、オケツに住んでいる胡麻ちゃんと唯一触れることの出来る時間。

それがなくなってしまった僕は、その日ついに消えていった……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ