凛とした転校生
朝だというのにむさ苦しい暑さで起きた俺は、自宅の階段を降り、家族が集まるリビングへと向かった。
「早くご飯食べて学校に行きなさい」
ウザい母親が命令口調で言ってきた。
半袖のオープンシャツに袖を通し、ズボンを履き、通学カバンに用具を入れ、「行ってきます」と、言って自宅のドアを開けた。
家からは自転車で地元の駅まで向かう。音楽を聴き、ノリノリで自転車をこいでいた。
「そういえば今日、転校生が来るとかバカ担任が言ってたな…」と、別にどうでもいいような事を思いながら駅の自転車置き場に着いた。
自転車置き場には凄まじい数の自転車が置かれ、中にはサドルが盗まれた自転車もあった。
荷物を肩に掛け、俺は鍵をして、改札口に向かった。
カバンから定期券を取り出し、投入口に券をいれ、ゲートが開き、ホームへと向かった。通勤時間でサラリーマンや学生が多く見られた。
(まもなく、3番線に通勤快速東京ゆきがまいります……)
電車がホームに入線し、俺の目の前でドアが開いた。
やっぱり車内は涼しい。冷房がガンガンに効いている。
発車時間になり、ドアが閉まり、電車は発車した。
電車はやがて到着し、俺は駅の改札を出た。
俺は学校へと徒歩で向かった。
ながったるい坂道を汗かいて登り、ようやく学校に着いた。
校門の前ではバカ担任服部が挨拶していた。
「おはよ〜」
と言ってきたが俺は無視した。
スリッパに履き替え、教室に向かった。階段を登り、目の前に俺のクラス、2年C組がある。
「お〜っす」とクラスメイトに挨拶を済ませ、机に着席し、荷物をバンッと置き、携帯をいじりはじめた。
始業時間になるにつれ、生徒が現れ始めた。
元同中の吉岡と鈴木と彼女の北川にも挨拶した。
チャイムが鳴り、服部が出席簿を持ってきて入ってきた。
「さっそくだが、転校生を紹介するぞ〜。じゃあ入ってきて〜」
そこには髪の長い、凛とした女の子が入ってきた。もちろん制服は違う。
「愛知から来ました、越川結希です。よろしくお願いします。」
クラスの男子だけが興奮していた。まぁ俺はどうでもいいがな。
担任が「越川さんは……、浅井の隣に座ってくれ」と言った。
彼女の視線が気になるのはさておき、結希は俺の隣に座った。
「浅井君だっけ? これからよろしくね」と笑顔でこちらに話した。
「あぁ、よろしく」と返した。
担任がまた「浅井はとりあえず学校案内しろよ〜」と言ってきた。
また手間を増やしてきやがったなバカ服部と口に出すと長い説教が始まるので、あえて言わず、舌打ちした。
休憩になり、当然転校生だから辺りには質問攻めをする連中がいる。
俺は直ぐに離れた。
「あぶねぇ、ただでさえ暑いのにさらに暑くなる。熱中症で死ぬとこだった」と思い、俺は屋上へと向かった。
続く