邪神、三階層へ
三階層、ここは巨大な鍾乳洞のようになっている。階層内にはいくつか巨大な地下水湖があり、その中に魔物が潜んでいる。
フロアボスのポイズンスライムを倒すため、三人は階段のあるフロアへ向かった。
道中の宝箱は開いており、トラップも事前に作動させてある状態だった。
「少し前に誰かが来たみたいですね」
「そのようだな。それが先ほどの殺人鬼で無ければよいが......」
地図を頼りにトラップを回避しつつ進んでいた時だった。
「おーい! 君たちも冒険者仲間か?」と六人組の冒険者パーティーが近づいて来た。
「俺たちはB級冒険者パーティー『赤き剣』だ」
リアニスが代表して前に出た。
「失礼、臨時パーティーなのでパーティー名はない。私はA級冒険者リアニス・ダムナート。こっちはラテくんとアリシアくんだ」
「なんと、貴方が『神速』と名高いリアニスさんでしたか! 失礼しました。ところで、貴方たちは前フロアで冒険者の死体を見ませんでした?」
「ええ、見ました。おそらくあれは冒険者の犯行です。貴方達は殺人鬼を追っているんですか?」
「そうです。おそらく殺人鬼はダンジョン探索のどさくさに紛れて俺たちを殺す気です。だから、早く見つけておかないと、さらなる被害が出てしまう......」
「私も同意見だ。とは言え、君たちが犯人な可能性もある。私としては距離を取りたい」
「......その通りですね、失礼しました。すでに仲間の一人が外に殺人鬼について連絡しているので、私達も三回層の魔物を討伐次第戻ります。では、ご武運を」
赤き剣のメンバーは去っていった。
ラテが前に出た。
「奴らはおそらく犯人では無いな。とは言え、奴らからこちらが白だという確証は無い。変に疑心暗鬼になっても困るし、先へ進むか」
三人は歩みを進めた──
赤き剣との遭遇後、三人はスムーズにフロアボスの部屋まで辿り着いた。
フロアボスであるポイズンスライムは倒されておらず、地底湖の中を泳いでいる。
「ここに来てやっとボス戦とはな。さて、気合いを入れるか」
「気をつけて。殺人鬼がどこに潜んでいるかもわからない」
「はい!」
地底湖から紫色の海坊主のようなスライムが現れた。
B級モンスター
ポイズンスライム
体内に紫色の神経毒を生成する機関を持つため体が紫色に見える。水生。
ポイズンスライムは体内から毒弾を四方八方に放った。この毒に触れると一瞬で体が麻痺して死に至る。
リアニスは切ることは出来るが、切った後に毒を浴びる可能性がある。アリシアの炎は水場だと効果が出にくいうえ、燃やして気化した毒を吸う可能性がある。
つまり、遠距離からラテが倒すしか無い。
「リアニス、アリシア、我が遠距離で倒す。お前達は近くで周囲の警戒をしてくれ」
ラテは闇で鎌を作り、それを回転させてポイズンスライムに向かって投げた。
ポイズンスライムは体内から毒を放水ポンプのように勢いよく放出した。
リアニスは一太刀で風を切り、毒の方向を逸らした。それでも勢いを殺しきれない毒はアリシアの結界で防いだ。
鎌は毒の波を切り裂きながらポイズンスライムの方まで勢いを弱めることなく近づき、ポイズンスライムの核を切り裂いた。
スライムの体内にあった毒が放出され、地底湖は紫色に変わった。
「毒性が弱まっているな......何かに使えるかも」
ラテは試しに紫色の水を少し汲み取り、空間収納魔法に入れた。
リアニスは苦笑いしたものの、嬉しそうにしていた。
「凄いものを収集するね......でも、初のボス討伐だ!」
「よし、次は四階層だな」
[三階層]
六人の冒険者パーティー『赤き剣』の前に黒い影が現れた。
影の中から笑顔を模した白い肉の仮面が現れる。
「なんだ、こいつは......地図の情報には無いぞ」
「新種の魔物?」
「いや、待て、もしかするとこいつが冒険者殺しなんじゃねえか?」
六人が警戒態勢をとると、影の中から不気味な声が聞こえた。
「コイツラ、デハナイ」
影は姿を消した──




