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最弱の邪神は悪役令嬢に転生しても世界を支配したいようです  作者: 米西 ことる
第二章 邪神が冒険者になりたいようです
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邪神、ダンジョンに挑む

ダンジョン探索依頼の遂行のため、ラテ達三人はダンジョン行きの荷馬車に乗り、大陸西側にある、かつて水底の邪神の支配領域であった地域へ向かった。


現在、ラテ達がいるのはイアール王国と呼ばれる大陸北西に位置する大国で、かつて【灰炎】・【水底】・【岩樹】の三柱の邪神の支配領域をまたがっている人類国家である。


今向かっているのはイアール王国の西側に位置するダンジョン【深淵湖】だ。

深淵湖は山中の盆地に存在しており、周囲が白い砂に覆われた赤い水の湖である。


その湖は入ると浮かぶことができず、ただ落ちていく。落ちた先、水底にダンジョンがあり、そのダンジョンは地下に潜っていくタイプの構造をしていて、推定では全五回層。


階層ごとにフロアボスがいる他、内部のトラップも殺意が高く、悪趣味なものが多い。


四階層までは攻略されているため、五階層にいるダンジョンボスを倒せば完全攻略となる。




 深淵湖に到着し、三人は荷馬車から降りた。

周りにはたくさんの冒険者がおり、全員C級以上の実力者だ。


ダンジョンに入るため、幾つかのグループに分かれてから特殊な船に乗り込み、湖の中心へ向かう。そこからの方が安全にダンジョンへ突入出来るからだ。


ラテ達三人も船に乗り込み、船が湖の中心部へと向かって航行を始めた。



 湖の中心へ向かう途中、ラテ達とは別の一隻の船が突然真っ二つに割れ、乗っていた者たちがダンジョンへと落ちていった。


船頭の老人がその様子を見慣れたように見ていた。

「今回は早いな」


湖の中から巨大な青いタコの触手が現れ、それが船を掴み、船を水底へと引っ張る。


ラテは笑った。

「これがダンジョンへの入場というわけか」


触手により船は沈められ、ラテ達三人も湖の底へと沈んでいく。

浮力は無く、酸素もなく、ただひたすらに沈んでいく。


湖の赤い水は下に沈むほど昏く、淀んでいき、かつてのトラウマを想起させる特殊な精神干渉の力がある。

しかし、事前に渡されていたブレスレットにより三人はこの精神干渉の影響を受けず、そのまま下へと沈んでいく。


しばらく沈んでいると、突如三人は転移し、ダンジョン内の大きめの部屋にいた。


「着いたか」


突如、三人の頭上から何かが落下して来た。

三人は戦闘態勢に入り、構えを取った。


落下して来たのは頭部が魚の半魚人だった。


その半魚人はかつてダンジョンへ挑んだ冒険者の遺品である剣や革の靴を履いている。


その場の誰よりも速くリアニスが前に出て半魚人を斬った。

「ダンジョンを攻略して、冒険者達の遺品も回収しましょう」


「そうしたいなら、そうすればいい。行くか、最新部まで」


三人は最深部までの道を進み始めた──



◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎



ラテ達がダンジョン探索を始めて数分、大量の半魚人の魔物と遭遇したものの、三人は次の階層へ進むためのフロアにやって来た。

どうやらフロアボスは既に討たれているようで、あと数日はフロアボスは復活しないためそのまま次の階層へ向かった。


事前に渡されているダンジョン内の地図にはトラップの位置や階層ごとの敵について記述されているため、四階層まではスムーズに進むことができる。



二階層は一階層と変わらない景色で、槍を持った人型のイカがいた。

イカは二本の腕で槍を持ち、残りは絡めて足のようにしていた。


「槍イカか......」

ラテが呟いた。


三人を発見したイカは片方の槍をアリシアに向かって投擲した。ラテはアリシアを守り、リアニスはイカを切った。

「湖にイカとはね......」


『イカがなものか』


アズの念和を無視して三人は進む。

道中、宝箱があった。


アリシアは興味深そうにその宝箱を見ていた。

「これが、宝箱なんですね。すごく怪しいです!」


「地図によれば、その宝箱は当たりらしいね」


宝箱の中身は取ってから数日すると補充される。毎回同じものが入っているわけでは無く、毎回ランダムだ。

武器や防具、あるいは魔導書なんかも入っている。


アリシアは宝箱を開いた。

なんと、中には魔導書が入っていた。


「魔導書か、一体何の魔法について書かれているのだ?」


「読んでみます」


アリシアは中を読んでみることにした。


その魔導書には【深淵魔法】について記述されていた。

【深淵魔法】とは、善神の神聖魔法と対をなす、"邪神から与えられる魔法"である。


神聖魔法より強力である反面、使用後にデメリットがあるため深淵魔法の使用には注意が必要だと記述されていた。


アリシアはエルフ族特有のものなのか、魔法に強い興味があったため、この魔法に食いついた。

「ラテ様、何なんですか、この深淵魔法というのは?」


「ああ、それは邪神と【誓いの碑】の誓約を果たした者のみが使える魔法だ。ただ、一時的に使用者の秘めた闇を強めてしまうから危険だ」


アリシアは少し残念そうな顔をしつつ、魔導書を懐にしまった。


リアニスは不思議そうに二人を見ていた。

「ラテくんは魔法に詳しいんだね。私は深淵魔法なんて初めて聞いたよ」


ラテは嘘をつくことにした。

「まあ、我はこう見えて、魔法収拾の旅に出たこともあるからな」


「すごいね! どんな魔法を手に入れたの!」


「それは......」


その時、フロアボスのいる方向から叫び声が聞こえた。三人は二階層のフロアボスのいる場所へ向かった。



 フロアボスのいる部屋まで行くと、そこにボスはいなかった。代わりに、先行していたBランクパーティーのメンバーの死体があった。


アリシアはその光景をみて口を抑えた。


全て顔に傷があり、刃物で切られた者や火傷した後があり、全員一箇所に集められていた。


リアニスは死体に近づき、剣士をした後彼らの瞼をそっと閉じた。

「ここのフロアボスは巨大な魚だ。こんな傷はつかない............考えたくは無いが、冒険者の中に殺人鬼が紛れているかもしれない」


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